更新日:2023年05月07日 13:44
エンタメ

今年も栄冠に輝くのは、どの妄言か?「おっさん流行語大賞2019」――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第71話>

ワンクリック詐欺サイトの電話番のおっさんに聞いた2019年の流行語大賞

 そして、今年もあの業界に流行語をアンケートしてきた。そう、詐欺サイトである。  エロいサイトを見ていると、怪しげなサイトに飛ばされて「登録されました」と出ることがある。解除したければ6万円払えとかそういうことを平然と言ってのける詐欺サイトだ。  こういった請求は一切無視して良いが、「連絡先」と記された番号で怖い声のおっさんが電話番をしていることが多いので、昨年に引き続き、こちらにも電話をかけまくって流行語大賞を聞いた。  「す、すいません、ネット見てたら登録されましたとかでたんですが」  「あー、そうですか。なんていうサイトですかね?」  「人妻快楽温泉スプラッシュマウンテンというサイトです」  「そちらですと解除料が86,000円ですね」  という話の流れで流行語大賞を聞いてみた。 1.金払え 2.払わないと大変なことになりますよ 3.はあ?  例年通りの反応である。真面目にお仕事をされているようで安心する。 4.殺すぞ  昨年はなかった暴力的な言葉がランクインしてきた。ツイッターだったら一発で凍結される文言だ。昨年はここまでではなかったので少しだけこの世界が暴力的になったのかもしれない。 5. おむすびころりんクレーター  昨年の調査で唯一真面目に「そだねー」と流行語を答えてくれた詐欺師がまた真面目に答えてくれた。というか1年経ってもまだ詐欺をやってるのか。そんなに心優しいのに。  「覚えてますよ。去年は僕、そだねーって答えましたよね、その後に見事に大賞獲りましたよね、そだねー」  「僕は今年はONE TEAMだと思います」  「僕はおむすびころりんクレーターだと思います」  「おむすびころりんクレーターなんて絶対にありえない、もしそうだったら解除料払ってもいいですよ」  こんな、詐欺電話とは思えないやり取りがあったのだ。世界が少しだけ優しいほうに傾いたような気がした。  というわけで、この連載が更新される頃には流行語大賞の結果が出ている。絶対に「ONE TEAM」であって欲しい。そうでなくても「おむすびころりんクレーター」はやめてほしい。そう祈るしかない。 ロゴ・イラスト/マミヤ狂四郎(@mamiyak46
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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