更新日:2023年05月07日 13:44
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今年も栄冠に輝くのは、どの妄言か?「おっさん流行語大賞2019」――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第71話>

 競馬場で飲んだくれているおっさんに聞いた2019年の流行語

 それよりなにより、皆さんは2018年、昨年の流行語大賞を覚えているだろうか。多分思い出せないと思う。僕も調べてみるまで思い出せなかったが、「そだねー」らしい。そう言われてもそだね、という感想しか出てこない。  こういった流行語大賞に対するアンチテーゼとして、昨年、本当の流行語を探ろうとおっさんを対象に「競馬場」「パチンコ屋」「スロット屋」「詐欺業者」を対象に大規模なアンケート調査を行った。(第17話「競馬場で呑んだくれてるおっさん等に聞いた! 2018年おっさん流行語大賞が決定」参照)  その結果、2018年のおっさん流行語大賞は「自己破産」であった。  2018年にやったのなら2019年もやらなければならないだろう。というわけで急遽、2019年おっさん流行語大賞を調査することとなった。毎年こうやって発表することによって年末の風物詩となり、まじかよー、もうおっさん流行語の時期かよ、一年早すぎだろ、と言われるのを目指したい。  さっそく結果発表だ。 1.アーモンドアイ 2.ストロングゼロ 3.サートゥルナーリア 4.福永金返せ 5.ダメージジーンズ  アーモンドアイが圧巻の2連覇を飾った。この調査は天皇賞・秋が開催された東京競馬場で実施された。圧倒的一番人気に支持されたアーモンドアイが圧巻の強さで勝ち上がったことから、多くの競馬ファンの心に残った。納得の結果である。  また、昨年5位であったストロングゼロが2位にランクアップした。これはストロングゼロを飲んでいたおっさんめがけて意識的に調査を行ったからである。早い話、アンケート調査の根幹を揺るがす恣意的操作が行われた結果である。  3位のサートゥルナーリアも同様に、天皇賞・秋での有力馬であった。アンケート中に、フレディーマーキュリーみたいなおっさんが、延々と「サートゥルナーリア」の語源について語りだし、めちゃくちゃ面倒だった。  サートゥルナーリアとは古代ローマの「サートゥルナーリア祭」が語源で、奴隷であっても賭博が許されたり、生贄を捧げたりする特別な市が開催されたそうだ。俺たち奴隷もこうして競馬ができる! けれども俺たちは生贄なんだ! と語りだして死ぬほど面倒だった。早く帰りたかった。  4位の「福永金返せ」は騎手の福永さんが有力人気馬に乗ったにもかかわらず、全く奮わなかったときに主に僕が発する言葉である。僕の1票と、本当に福永さんによって馬券が外れ深く恨んでいるおっさんの1票によってランクインとなった。  5位のダメージジーンズにはついては全く意味が分からない。ボロボロのジーンズのことだと思うけど、流行ってないような気もするというか、少なくともおっさんの間では流行っていない。そういう名前の馬がいるわけでもないと思う。  これを答えたおっさんがダメージジーンズをはいているかと思いきや、見てみるとピューマの偽物みたいなジャージだった。なんで出てきたんだよ。  なんにせよ、2019年も競馬界はアーモンドアイであった。
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パチンコ・スロット屋で開店待ちの列に並んでいるおっさんに聞いた2019年の流行語
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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