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久石譲のように、「誰かの影響」を創造に活かすには共通点と差異点を探せ

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第147回
ピアノ

※写真はイメージです

 久石譲という作曲家がいる。宮崎駿監督の『となりのトトロ』『もののけ姫』や、北野武監督の『菊次郎の夏』『HANA-BI』の音楽を担当した人物だ。  彼は著書『感動をつくれますか?』(角川書店)で、「ポップスで養ったセンスと、ミニマル・ミュージックの作品を融合させながら、いかに刺激的かつ知的興奮を伴う音楽を提供していくかということが、僕の課題になるだろう」と記している。  彼がそう考えるようになったきっかけは、アンドリュー・ポピーという作曲家だ。久石譲によると、アンドリュー・ポピーは「ミニマルミュージックをベースにしながら、リズムはロック」という独自の世界を作り出している。そして、その音楽を聞いて「衝撃を受けた」とも記している。  誰かに心を揺さぶられた体験は原風景となって、その人の言動に影響を与えるようになる。彼は「ミニマルミュージックとロックを融合させた音楽」を作っている人物に影響を受けて、「ミニマルミュージックとポップスを融合させた音楽」を作りたいと考えるようになった。  誰かに心を揺さぶられる体験には理由がある。その理由の一つが「自分と相手の共通点」だ。久石譲とアンドリュー・ポピーの場合は「ミニマルミュージック」がこれに当たる。  久石譲は映画音楽やCM曲を手がけるようになる前は、ミニマルミュージックを作曲していた。ミニマルミュージックは現代音楽の一つで、一般には理解されにくいジャンルだった。そして、その一般に理解してもらえないことを理由に、幅広く理解してもらえる音楽を目指すようになった。  ミニマルミュージックからの転向について、彼は「封印」という表現を使っている。この表現には、「完全に心から消えてなくなっていたのではなく、浮かんで来そうになるものを押さえつけて出さないようにしていた」というニュアンスがある。  しかし、そうした封印とはいつか向き合うことになるものだ。そして、その機会は「誰か別の人間の言動」という衣をまとってやってくる。久石譲にとって、アンドリュー・ポピーの音楽がそれだった。
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共通点だけでなく、相違点もあった
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