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名優・高倉健を動かした言葉とは?

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第145回
映画

※写真はイメージです

 高倉健という俳優がいる。『日本侠客伝シリーズ』『昭和残俠伝シリーズ』といった任侠映画で東映の看板スターになり、『八甲田山』と『幸福の黄色いハンカチ』の2作品によって、1回日本アカデミー賞主演男優賞を受賞した名優だ。  彼の主演した作品に『鉄道員』という作品がある。浅田次郎の短編小説が原作で、広末涼子との共演や、主題歌の作曲を坂本龍一が手がけたことでも話題になった。この映画で高倉健は『動乱』以来、19年ぶりに東映作品に出演した。  彼に出演交渉をしたのは、当時の東映大泉撮影所所長だった坂上順氏だ。坂上氏のもとには、東映撮影所で働く定年間近の職人たちから、「最後にもう一度健さんと仕事がしたい」という声が寄せられていた。その時に職人たちが持ってきたのが『鉄道員』だった。  坂上氏は断られるのを覚悟で、「待つこと、夢見ることだけの男たちの願いを、聞き入れてはいただけないでしょうか」と高倉健に話したという。彼らの熱意に心を動かされた高倉健はオファーを受け入れる。  誰かに心を揺さぶられた体験は原風景となって、その人に影響を与え続ける。その影響に年月は関係ない。十年経っても、二十年経っても、たとえ表面的には忘れてしまっていても、ふとした時に過去の体験がきっかけになって、人や物事が動き始めるものだ。  東映は高倉健にとって古巣だ。職人たちの「もう一度」という言葉からわかるように、一緒に仕事をしたことも何度となくあったのだろう。そんな彼らの願いだったからこそ、彼は出演を決めたのだ。
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決心や決断の材料は人物
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