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第553回 1月12日「ゲーム実況からやってみては?」

・子どもたちがスマホで日々大量の動画を視聴している状況を見るにつけ、コミュニケーションの主体が文字から動画に移行していくことを確信する。まずSNSが動画メインになっていくだろう。 ・文字世代の方々も、自作動画のアップロードやライブ配信を始めてみてはどうだろう。映像なんか作れないし喋るの苦手だし……という人も多いと思うけど、発信することはあなたが今、見ている、その光景でいいのだ。 ・自分は特別なものを見ているわけではない、自分の日常は公開するほど面白いものではない。そう考えている方、いやそんなことはないです。例えばあなたが毎日延々と見続けているゲームの画面、それ、むちゃくちゃ面白いです。とっかかりとして、「ゲーム実況」をおすすめする。 ・ゲーム実況については多くの人々に無責任に「やってみて」とは言えない状況が長く続いていた。メーカーやクリエーターの著作物であるゲームの映像音響を勝手に流してしまって良いものかという問題があったからだ。ゲームメーカーとしては簡単に認めるわけにはいかないけど、宣伝効果つまりメリットが大きいから、禁止はしたくない。だから公式の実況番組以外は「黙認」という形で、やる側もこそこそやる、メーカー側も見て見ぬ振りをする、という座りの悪い状況が長く続いたわけである。 ・「ゲーム実況は合法か非合法か」問題について複数の弁護士と検証したことがある。判例は皆無だが一応の結論をかみくだいて言うと「合法……ただし実況者のトークが面白ければ」というものになった。これは冗談ではなく、つまり万一法廷に出たら該当動画について実況者のパフォーマンスとゲームコンテンツのどちらが主体だったかという判断がポイントになるということ。※もちろんゲーム動画をそのまま配信してしまうことは論外。 ・ただしメーカーと実況者(=プレイヤー)がケンカするなんて事態はありえないのでこの点なんとか曖昧にし続けながらゲーム実況文化は育っていたわけだ。やがて一部のゲームメーカーが一部タイトルについて「実況OK」の宣言をするようになり、それらのゲームは大きな実利を得ることができた。やがて2大システムホルダーである任天堂とソニーが、ゲーム実況についての姿勢を明確にした。これは大きなことだった。 ・プレイステーションのソニーはPS4の機能に「シェア機能」……実況(配信)機能を組み込んだ。ネットにつながっているPS4ならそこでプレイしているゲームをいつでもすぐに配信できる。「禁止区間」と設定されたシーンについては自動的に配信が止まるから、レギュレーションを細かく気にかける必要がない。現在はこのシステムをほとんどのゲームメーカーが活用している。つまりメーカー側は各タイトル各シーンごとにOKかNGかを設定することで、配信を適切に公認することができるようになっているわけだ。 ・Switchの任天堂は2018年末に「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」という文書を発表し、ガイドラインを明確にしつつ自社コンテンツについての実況を許可した。昨年からネット上に任天堂ゲームの動画が急増したのはこの効果である。今多くのソフトメーカーが新作を出すたびに配信のガイドラインを出すようになっているのは、2社の英断のおかげと言っていいだろう。 ・さてゲーム実況の始め方だが、一般的なゲームプレイヤーにはPS4タイトルか任天堂タイトルから手をつけることをおすすめする。特にPS4を持っていてネット環境のある人は、今すぐにでも始められる。マイクも音質にこだわらなければ本体付属のイヤフォンマイクをコントローラーに差し込むだけでいい。プレイステーションカメラを持っていたらゲーム画面の隅に自分の顔を入れてもいいだろう。作業的にはYou Tube、ニコニコ生放送、Twitchなど対応しているオンラインサービスに自分のアカウントを設定した上で、ゲームをプレイしながらコントローラーの「SHARE」ボタンを押してスタートする。 ↓この機能による配信です。
・Switchからゲーム実況したい人は配信用のPCと配信ソフト(「OBS Studio」など)が必要。それからゲーム機とPCをつなぐ(ゲーム映像をPCに流し込む)キャプチャーボードが必要で、これが¥1万〜¥2万……ただしこれから買うのだったら、「ATEM MINI」という商品がいい。¥4万弱だけど、ゲームやカメラからの4種の映像を処理しながらPCに送り込める高機能スイッチャーとしてコストパフォーマンスは極めて高い。これを使いこなせばかなり高度なこともできるから、先のことを考えたらおすすめできる。 ・こういうツールを使っていろいろに遊んでいるうちに、やがてごく自然に面白いオリジナル動画を作れるようになるかもしれない。そういう作品群を心待ちにしている。 ……………………………………………………………………………………………… ※この話題「ゲーム実況からやってみては?」のライブトークVer.はこちらです↓
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。
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