エンタメ

第575回 2月6日「休みませんか?」

・コロナ禍で身動きがとれないまま時間を無駄にしてあせっている人が多いと思う。特に若い人は気の毒だ……けど、1年や2年のロスは「なかったこと」にしてもいいんじゃないですかね。 ・アイドル事務所がデビュー前タレントに対して定年制を設けたという報道が話題になった。これは「若い人のチャンスが減った」事象として語られているけれど、逆なんじゃないかと考える。今はネット活動という受け皿がある。自分のペースでチャンスを狙うタイプの人たちはそこに移り、そこで大きくなっていくのだ。そして芸能事務所がそういう人達を抱えているメリットはない。 ・実際、活動拠点をテレビからYouTubeに移したタレントが続々と芸能事務所を退社する動きもある。タレントとプロダクションの関係は変化せざるを得ないのだ。タレント側としてはあるレベルの人気を得られれば、個人の立場でも稼ぐことができるようになっている。プロダクションとしてはそれを止めることはできない以上、知名度を与えるために長年投資してもそれが返ってくる保証はない。 ・そして単なる数字としての年齢は、どうでもよくなりつつある。一昔前まで、年をごまかしている芸能人はとても多かった。システムの中でしか活動できなかった状況においては、30代のアイドルなんて考えられなかったわけだ。けれど今はネットで直接ファンにアピールでき、そこで数字と関係ない魅力を評価してもらうことができる。大金を稼ぐこともできる。お笑い芸人も漫画家もミュージシャンも同じだ。何歳でデビューしてもいい時代になっているのだ。 ・自分の時間を使って、好きなことをつきつめていく。それが時流と合わないこともある。一昔前だったら諦めるしかないわけだが、今なら、チャンスが来るまで、風が自分に吹いてくるまで、待つということが可能になっている。その間は時間を止めておけばいい。ポーズボタンを押して、時代が来るまでひたすら待てばいい。無駄に老化しなければいいだけなのだ。 ・以下は余談だけど、僕は暇さえあればゲームをやることにしている。ゲームに熱中すると脳波は「超集中」と「超リラックス」が並立したアルファ波になる。これが持続している間、人間は老化しないと言われている。僕の場合は1日12時間はゲームをしているから、つまりゲームを始めてからの40年間で20年分しか老化していない。つまり戸籍上は58歳だが、実際は38歳。まだ全然余裕である。 ……………………………………………………………………………………………… ※この話題「休みませんか?」のライブトークVer.はこちらです↓
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。
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