更新日:2021年04月23日 00:01
エンタメ

第577回 4月22日「NFTで小説を書く!?」

・いわゆる仮想通貨は、ブロックチェーンによる、無限にコピー可能なデジタルの世界で「偽札」をつくれなくするシステムの上に成り立っている。これをアートに応用すると、いくらでもコピーできるデジタル作品なのに「贋作」をつくれなくする、そういうことが可能になる。 ・NFT(非代替性トークン)というものを設定してデータに紐づけることによって、そのオリジナル性を証明する。これでデジタル作品でも、物質の絵画とか彫刻と同じような「財産」として売買できるようになるわけだ。 ※NFTについてはYouTubeで何度か話しています↓ 渡辺浩弐のトーク・エッセイ3月19日「ブロックチェーンで大儲け!?」
渡辺浩弐のトーク・エッセイ4月9日「『小説』をオークションに!?」(ゲスト:沢しおん)
渡辺浩弐のトーク・エッセイ4月16日「『ツイート』を売ります。」
・NFTはアート界に大きな衝撃を与えていて、この数週間でバブルが急膨張、ミック・ジャガーの新曲から孫正義のハゲツイートまでが高額で取引されている(僕も自分の過去ツイートを1個売りに出したら、$100で落札された)。 ・このシステムを応用して小説を売ることはできないか、いや、新しい小説を「作る」ことができないかと考え、ある試みを始めた。こんなアルゴリズム↓ 10 まず渡辺が、小説の冒頭を1ツイートとしてアップする。 20 そのツイートをすぐにオークションに出す。 30 それが落札された瞬間に、渡辺はツイートのリプライの形で文章を追加する。それが小説の続きになるわけだが、そこには落札者が登場人物として出てくる。 40 その落札者が、自分のものとなったツイート=小説の冒頭部分をまたオークションに出す。 50 それが落札されたら、渡辺はさらに小説の続きを書く。そこにはその第2番目の落札者が登場する。 60 そうやって冒頭部分が転売されるたびに落札者を登場させながらリプライが続きつまり小説が伸びていく。 ・このプロセスが延々と繰り返され、最終的には10年後に完結する。つまり最初のツイートは、10年後の、未来の小説の冒頭だったわけだ。そしてその本を買ってくれた人つまり読者の全員がその中にいる……登場人物になっている。そんな仕掛けの本をイメージして頂きたい。 ・最初のオークション締切は、4月23日24:00。さて、どうなるか。 ※クリック→こちらにわかりやすく解説して頂いています。 ※クリック→こちらが入札画面です。 ………………………………………………………………………………………………
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。
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