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第576回 3月13日「ぎり間に合うレガシー」

・オリンピックは、やるとしたらもう無観客か国内観客限定しかないわけだけど、でも「やる」と決めたらどんな形でも腹をくくってやるしかないと思うよ。 ・1964年の東京オリンピックにおいては、「オリンピックのため」という題目のもと官民一体となって作り上げたものの質と量がハンバなかった。武道館や国立競技場はその後50年間フル活用されて十分元を取った。新幹線も、首都高も、1964という照準が決まったおかげで一気に完成した。放送技術の進歩やテレビの普及も大きい。何から何まで劇的に変化した時代だったわけだ。今回のオリンピックでそういうことはもう不可能かもしれないけれど、それでも腐らずに、できることを全力でやるべきだ。 ・一つだけ提案させてほしい。今からでもぎりぎり間に合う、そしてとても大きなレガシーになりえるテーマがある。VRテクノロジーを駆使した観戦システムの開発と普及だ。 ・無観客つまり放送配信主体となった時、そのコンテンツ価値をいかに上げるかがポイントとなる。VRの観戦体験はそれを果たすだろう。ただし望まれるのはただゴーグル型のモニターで試合を立体視するレベルのことではない。試合会場やフィールドの中に入り、どこにでも移動しながらそこからの視界を楽しめる。もちろん選手一人一人の視覚に入り込むこともできる。またVR視聴ならではの様々な映像効果もリアルタイムで付加される。そのレベルの配信システムと受信システムを大至急用意する。それで「見に行けないオリンピック」のデメリットをメリットに反転させるという考え方である。 ・これが「間に合う」と考える理由は、必要な技術が既に揃っているからだ。ハードウェアとしては豆粒大の超小型カメラ。ソフトウェアとしてはライブ動画のリアルタイムAI補正技術。インフラとしてはもちろん5G。 ・ドローンカメラの需要に牽引されてカメラの小型化、軽量化が進んでいる。会場の隅々に、それどころか選手の体にまで設置することも可能だと思う。激しく動く視界の映像を視聴者がストレスなく体験できるようにするために、AIによるリアルタイム補正が行われる。これを配信するために5Gを役立てることができる、ということである。 ・そしてVRのマーケット確立=大衆化についてはゲームとAVが先行している。どちらも我が国に一日の長があり、また今後さらなる拡大が期待される業界だ。東京オリンピックの時にNHKががんばったように、今度は民間のハード/ソフトメーカーのノウハウを集結する。5Gとともに、低価格高性能のヘッドマウントディスプレイを普及させるチャンスでもある。 ・あと4ヶ月。今はここに力を集約すべきだ。システムの構築そして対応機器の開発・製造など、一気呵成に進めるには何らかの号令は必要だろうが、実現したら経済的なインパクトは絶大だ。ここで作られたものは今後50年、各ジャンルで活用されるだろう。 ……………………………………………………………………………………………… ※この話題「ぎり間に合うレガシー」のライブトークVer.はこちらです↓
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。
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