山内マリコ×エリイ、世界各地の美術展を巡りに巡った2人のアートの見方
山内:ブルジョワ作品、日本には「ママン」(六本木ヒルズにある蜘蛛の彫刻)くらいしかないですよね。たまに海外の美術館に行くと、おもしろい作品が山のように展示されてて度肝を抜かれる。日本で紹介されているアートって、本当に氷山の一角。都内の美術館も行ききれないけど、海外にまでアンテナを張り出すとヤバい。
エリイ:よく上野でおばさんが並んでる絵とかは、ヨーロッパの美術館だと階段の脇のさらに端のほうに展示されてるんだよね。
山内:そうそう! ウェス・アンダーソンのキュレーション展を目当てに行った、ウィーンの美術史美術館は圧巻でした。
エリイ:ウィーンはどこの美術館も常設展がよくて、モナリザ以外すべてあるって言っていいくらい。マティスもムンクも見られる。上野の行列に加わるくらいなら、ウィーン行ったほうがいいよ。今はコロナで無理だけど、直行便出てるから。
山内:本当におすすめです。小田原にある杉本博司の『江之浦測候所』は行きました? やっぱり人は最終的に石に辿り着くみたい(笑)。千葉の湖畔美術館も、遠いけど行った甲斐あった。女性アーティストのグループ展「更級日記考」とか、ひとひねりした企画展が素晴らしかった。
エリイ:湖畔美術館、一昨年グループ展した。美術館で展覧会するときって、最初は企画が通らないことが多いから何度も交渉しなきゃいけない。
山内:企画書を出さなきゃいけないんだ。来年の森美術館の個展とか、どういうふうに仕込んでいくんでしょう?
エリイ:企画書や図面、あとは会場に置く作品の配置も絵に起こしてプレゼンしたり。チンポムは面倒くさがってギリギリまで延ばすタイプで、森美術館にも、「こんなに遅い人たちいない」って言われる。まあ、SPA!の読者はあまり美術館行かないでしょう。
『山内マリコの美術館は一人で行く派展ART COLUMN EXHIBITION 2013-2019』(1760円) 『TV Bros.』での連載にプライベートで訪れた新作を加えた美術展エッセイ。探訪先はモダニズム彫刻のジャコメッティからかわいいシルバニアファミリーまで幅広い |
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