山内マリコ×エリイ、世界各地の美術展を巡りに巡った2人のアートの見方
新型コロナウイルスの影響で全国の美術館の多くが休館措置を取ったため、残念ながらあまたの企画が日の目を見ぬままになっている。再開の暁には芸術に触れて刺激を受けたいが、美術史や現代アートに深い理解がないまま美術展に行ってもいいものか? 3月に『山内マリコの美術館は一人で行く派展』を上梓した作家の山内マリコと、’21年に六本木の森美術館で個展を開催予定のアートユニット「Chim↑Pom」のエリイが自由奔放に語り合う。
エリイ:私は出かけるのが超嫌いだから、インスタ映え作品だけ見るようなバカな友達がいいって言ってる美術展は基本行かないかな。レアンドロ・エルリッヒ(現代芸術家)は友達だけど、友達だからって行くわけじゃない。美術に超詳しい友達の口コミで決めます。
山内:レアンドロ・エルリッヒ、私は行きましたよ(笑)。「スイミング・プール」(金沢21世紀美術館に設置)はすごいと思ったけど、個展で作品をまとめて見ると、ただのトリックアートじゃん!って思ったり。美術展を探訪する連載のおかげで雑食になって、面白い作品にもたくさん出合えました。エリイさんは、今までで一番すごいと思った作品はなんですか?
エリイ:’01年の横浜トリエンナーレで初めて現代アートを見たんだけど、会田誠さんの作品もあったし、ほかには整形手術した人の脂肪を集めた「文明柱」っていう柱とか、塩田千春さんの泥がついた巨大なドレスとか。デカくていいなって思いました。
山内:デカいってすごく大事な要素。アンディ・ウォーホルの「キャンベル・スープ」は有名だけど、実は味の種類がめちゃくちゃたくさんあるの、本物を見ないとわからなかった。
エリイ:いい作品って裏側までよくできていて、キャンバスが隅のほうまで綺麗に貼ってあったりする。イギリスで見たルイーズ・ブルジョワ(彫刻家)の個展には、これまでの作品だけじゃなく日記とかポエムもあって。ポエムって大抵くだらないけど、彼女はそこもよかった。端っこまで行き届いてる人って好き。
世界各地の美術展を巡りに巡った2人のアートの見方
『山内マリコの美術館は一人で行く派展ART COLUMN EXHIBITION 2013-2019』(1760円) 『TV Bros.』での連載にプライベートで訪れた新作を加えた美術展エッセイ。探訪先はモダニズム彫刻のジャコメッティからかわいいシルバニアファミリーまで幅広い |
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ