更新日:2023年04月20日 12:41
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日本が攻撃されても、米軍が反撃してくれるとは限らない/江崎道朗

自衛隊

出典:陸上自衛隊Webサイト

日本が攻撃されても米軍が報復攻撃するとは限らない

 北朝鮮は10月2日、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)らしきものを発射し、島根県沖の排他的経済水域に着弾した。  北朝鮮の意図は不明だが、はっきりしていることがある。たとえ北朝鮮のミサイル攻撃によって日本に被害が出たとしても、アメリカをはじめとする国際社会がしてくれるのは、外交的支援にとどまるということだ。  格好の前例がある。  9月14日、サウジアラビアの石油関連施設がドローンなどによって攻撃を受け、大規模な火災が発生した。一時的だが、サウジの石油生産量の約半分、世界の石油生産量の約5%が減少する被害が出た。  イエメンのイスラム教シーア派系の武装組織フーシが攻撃声明を出したが、アメリカのトランプ大統領は当初イランがその背後にいるとして報復攻撃を示唆した。だが16日には「戦闘は回避したいと強く願っている」と、発言をトーンダウンさせた。  ポンペオ米国務長官も「サウジアラビアに対する直接の戦争行為だ」とイランを非難したものの、イランへの軍事攻撃には消極的姿勢を示した。そしてエスパー米国防長官が26日、サウジアラビアに対して地対空ミサイル「パトリオット」1基とレーダー4基、約200人の支援要員を追加で増派すると発表した。
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アメリカが同盟国を守れない理由
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(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio

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 ’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。

 日本の経済安全保障を確立するためには、国際情勢を正確に分析し、時代に即した戦略立案が喫緊の課題である。江崎氏の最新刊『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』は、公刊情報を読み解くことで日本のあるべき「対中戦略」「経済安全保障」について独自の視座を提供している。江崎氏の正鵠を射た分析で、インテリジェンスに関する実践的な入門書として必読の一冊と言えよう。

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