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歌舞伎町の老舗ホストクラブ愛本店は6月で見納め。ドラマのロケ地にも

 1971年より続く老舗ホストクラブの愛本店が、老朽化によるビルの取り壊しによって2020年6月末に移転する。これに伴い、愛本店では6月限定で毎週土日の14時から17時の間、カフェ営業を行うイベントを開催。新宿・歌舞伎町のシンボルとも言える愛本店を『カフェ愛本店』として一般開放する。

どこか昭和ノスタルジーも感じさせる非日常空間

愛本店

新宿・歌舞伎町の老舗ホストクラブ「愛本店」

 コロナ禍で「接待を伴う飲食店」として、厳しい自粛要請を受けていたホストクラブ。愛本店も緊急事態宣言の発出後、客や従業員の健康を第一に営業を自粛していたが、5月23日からは三密回避や換気などの感染拡大防止策を徹底することで営業を再開した。  今回のイベント開催にあたっても、従業員だけでなく来店者への入店時における体温チェック、検温や手指のアルコール消毒などを実施。カフェスタイルでの営業中はホストが同席する接客サービスはないが、“インフォメーション係”としてホストが日替わりで出勤し、フロアを案内する。 愛本店 『カフェ愛本店』では入場料1000円で(ソフトドリンク飲み放題、お茶菓子付き)、49年間の歴史を堪能しながら、店内装飾の撮影なども自由に行える。通常営業の際は女性同伴でしか入れない男性も特別に入場が可能だ。  愛本店といえば、創設者である故・愛田武氏が手作りでひとつひとつ創りあげた豪華絢爛な内装で知られている。その一部は新店舗にも移すことが決定しているものの、老朽化などにより破棄せざるを得ない装飾品も多数あるそうで、それらはこの6月で見納めということになる。  独特の世界観を醸し出すド派手な内装が評判となり、これまで愛本店は数々のバラエティーやドラマ、映画のロケなどにも使われ、多くの著名人・セレブたちも訪れてきた。
愛本店

同店の人気ホストの3人。左から大川勇人さん、渦巻レオンさん、神上ダイヤさん

 ホストとして同店で働くレオンさんがこう振り返る。 「ミュージックビデオの撮影なども多くて、最近だと加藤ミリヤさんのミュージックビデオの撮影もありました。いろいろ思い出はありますが、一番印象に残っているのはマーク・ジェイコブスの2018年春コレクションのローンチパーティー。有名なモデルさんや女優さん、音楽アーティストの方がたくさんいらっしゃって。シャンパンタワーをやったり、ホストのみんなで盛り上げたんですが、あれは愛本店じゃないとできない体験でしたね」  また、ダイヤさんも「最初、入店したときは『お酒めちゃめちゃ飲まされるんだろうな……』と思っていたんですが、愛本店は従業員もお客様も年齢層が比較的高いので、先輩方も優しかったですし、お客様も上品な方が多く、お酒をイッキ飲みするみたいなこともあまりありませんでした。ホストとして働き始めた頃はそれが特に印象的でしたね。移転後もこれまでの伝統を引き継ぎつつ、また新たなお店を作り上げていけたら」と、愛本店での思い出を語った。
マグロ

過去にはマグロの解体ショーも開催された

 これまでもハウスミュージックのDJとマグロの解体ショーを組み合わせた「マグロハウス」など、老若男女を問わない多くの人に開かれたイベントに注力してきた愛本店だが、同じく同店の人気ホストである勇人さんが今回の意気込みを話す。 「キラキラした箱のインパクトが強いだけに不安もありますが、働くお店のスタッフたちも愛本店の魅力。自分たちの真価が問われるときだとも思うので、今のこのメンバーで愛本店の魅力を改めて証明していきたいです」 内装 当初、移転先には風林会館6F(元ロータリークラブ)を予定していたが、コロナの影響で未定となっているそうで、最終的な移転先が決まるまでは一時的な仮店舗で営業を続けていく見込み。7月からの営業場所については随時報告されるようだ。  愛本店の代表代行を務める慎氏によると、「内装についてはどこまで再現できるかわからないですが、やはり会長が手作りでコツコツと作り上げたものなので、移転後のお店もなるべくこの雰囲気に近いお店づくりができればと考えています」とのことだった。  50年近い歴史の中で大きな節目を迎えようとしている愛本店。「カフェ愛本店」初日の6日(土)は1時間ほどで満席となり、店内の様子を撮影する客の姿も多く見受けられたのだった。<取材・文・撮影/伊藤綾>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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