仕事

年収600万円だった指揮者、UberEatsと持続化給付金100万円で食いつなぐ日々

―[コロナ禍と人生]―
 新型コロナウイルスの流行により仕事や住居の変化、起業・学業・結婚の中断、中には家族の死など人生計画を狂わされてしまった人々は数多い。彼らはその後、どうなったのか? 今後もコロナ禍収束の見通しが立たない中、その生活ぶりと価値観の変遷に密着した。
コロナ禍と人生

年収600万円台だったクラシック指揮者もコロナ渦に飲み込まれていく…… ※写真はイメージです(以下同)

一公演60万円の収入から1か月休まず働いて7万円に

▼クラシック指揮者⇒UberEats配達員 中島秀明さん(仮名・45歳) 「コロナでタクト(指揮棒)をバイト情報誌に持ち替えまして……」  そう自虐気味に笑うのは、プロオーケストラの指揮者を務めていた中島秀明さん(仮名・45歳)だ。約10年間、安定的なプロ指揮者生活を送ってきた。一公演30万~60万円のギャラで年収は600万円台。移動交通費など諸経費は自腹のため、決して実入りのいい仕事ではなかったが「やりがいだけは感じていたんです」と話す。 「固定給のオーケストラ正団員と違って、指揮者は都度払い。だから何の補償もなくて……コロナで2月末から依頼が激減し、最後には演奏会がすべて白紙になって収入はゼロになってしまいましたね」  もはやアルバイトもやむなしの状況だったが、音楽一筋で生きてきた社会経験の乏しさが中島さんを尻込みさせていた。 「いい年してバイトの面接で落とされたらどうしようと」  そんななか、目に飛び込んできたのが、「料理の配達員がコロナ特需!?」というニュース記事。藁にもすがる思いでUberEatsへの登録を済ませ、4月からは毎日自転車をこいで生活を立て直すつもりだったのだが……。

競争過多で頑張ってもまったく稼げない

「蓋を開けてみれば、同じくコロナ苦境から続々参入してきたライバルだらけ。さらに日々コロナ倒産する飲食店の多さなど想定外の条件が重なり、一日8時間、1か月休まず頑張っても7万円程度の収入しか得られませんでした」 コロナ禍と人生 現在は配達に加え、少ない貯金と振り込まれた持続化給付金100万円でなんとか食いつなぐ日々。生活も一変した。 「以前は好きなコンサートに出かけたり、レコードやCDにオーディオ機材を買い漁っていたんですが、今はそんなコレクションも優先順位の低いものからメルカリ出品という生活です。なるべくカネを使わないように、好きだったものは見ないようにしています。出勤しても案件が少なく疲れるだけなので、今はシフトを最低限にして、出費を抑えてます。一日にコンビニのおにぎり2個で食いつなぐ毎日です」
次のページ
緊急事態宣言が解除されたが…
1
2
週刊SPA!7/21・28合併号(7/14発売)

表紙の人/ 石田桃香

電子雑誌版も発売中!
詳細・購入はこちらから
※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める!

年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事