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オーラルセックスの危険性 がんの発症を防ぐために

子宮頸がん予防ワクチンは男性にも有効?

 HPVを原因とした病気を防ぐのに有効なのが、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)である。2019年にAV男優のしみけん氏は、自らのTwitterでこのワクチンを打ち終わっていると語っている。  HPVワクチンには2価、4価、9価があり、今年7月21日に製造販売が承認されたばかりの9価は9種類のHPV感染を防ぐという(日本産婦人科学会HPより)。日本では2価、4価が小学校6年生から高校1年生まで、女性への定期接種が希望者に無料で行われている。その一方で、日本におけるHPVワクチンの現在の接種率は1%に満たない。北村氏は、「これは大きな危機です」と語る。  日本で浸透している「子宮頸がん予防ワクチン」という名前からすると、女性のみが対象となる、もしくは女性のみに効果があるワクチンと思われそうだが、子宮頸がんにとどまらず、たとえば肛門がんや中咽頭がん、膣がんなども防ぐ効果がある。肛門がんに関していえば、男性の同性愛者は肛門がんの発症率が高いものの、その9割以上の原因はHPVにあるという。  HPVは決して珍しいウイルスではない。1万人の女性がいるとすれば、そのうち8000人が一生のうち、何らかの形で感染するものであるという。 「ただ、ひとつ補足すると、HPVは発症したとしても、がんなどの重篤な症状を起こすとは限りません。自身の持つ免疫力によって治る場合も多いですね」  とはいえ、カップルのいずれかがHPVに罹患していたとすれば、(オーラルを含む)セックスで容易に感染が広がってしまうことも、また想像に難くない。感染のリスクを防ぐためにも、カップルの男性・女性ともにHPVワクチンを接種することには、確かな意義があるだろう。
北村邦夫氏

一般社団法人日本家族計画協会理事長で、医師の北村邦夫氏

「しみけんさんのような取り組みは有用です。私としても男性がちゃんと接種できるよう、折を見て政府に提言したりもしているのですが、未だ承認されていません。現状、オーラルセックスの危険性に対する関心の薄さは否定できません。疫学的なデータをきっちり示していく必要はありますね」  少し話は変わるが、現状、北村氏は「日本人のセックス離れ」にも危機感を抱いているという。コンドームブランドであるジェクス(株)と日本家族計画協会が今年行った「ジェクス・ジャパン・セックス・サーベイ 2020」の結果によると、婚姻関係にあるカップルでのセックスレス(直近の1ヶ月間でセックスがない)の割合は51.9%で、同協会が以前に行った調査における、2014年の44.6%、2016年の47.2%という数値からさらに上昇している。 「オーラルセックスの問題が広がらないのは、こうしたセックス自体への関心の低下もあるのかもしれません。若者たち、とくに男たちが肉食になって、自発的に“自分や彼女を守るため、ワクチンをぜひ打ってください”と言うようになれば、一石二鳥という感じがしていますね」<取材・文/若林良> ライター。執筆分野に映画・文学・歴史・AVなど。著書に『偉人たちの辞世の句』(辰巳出版)
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