更新日:2020年08月04日 18:05
エンタメ

TBS火曜10時枠ドラマが現代人の心のオアシス的存在なワケ

『カルテット』:“白黒つけなくても良い、グレーのままで”という構成が斬新な新感覚ドラマ

『カルテット』(TBS系)は2017年1月期に放送されたドラマだ。松たか子や高橋一生などの人気俳優陣が、本来であれば接点もない男女4人を好演。4人がヴァイオリン、チェロ、ヴィオラを持ち寄ってカルテットを組み、軽井沢を舞台に活動していく、という内容になっている。  本作の見どころは、登場人物の4人が過去や夢と葛藤しながらも、それに誰一人白黒をつけようとしないところだ。“あの時のあの判断は楽しかったのか”“このカルテットをどうしていきたいのか”などと振り返るどころか、お互いを認め合い、グレーのまま許容する姿が描かれている。  こうした“グレーで良い”という姿勢は、本作の演出を務めたTBSの土井裕泰さんがWebインタビューで、ラブコメディともサスペンスともつかない本作に対して「もしかして、そこは曖昧でいいのかも」と語っていることからも伺える。作品から漂う白黒つけたがる現代の風潮へのアンチテーゼが、今の視聴者の心を軽くさせ、人気を得たのかもしれない。

『G線上のあなたと私』:“大人になってできた友達同士の心地よさ”が受けたドラマ

『G線上のあなたと私』(TBS系)は2019年10月期に放送されたドラマだ。世代も環境も違う3人が音楽教室で集まり、ヴァイオリンという楽器を通して人間関係を深めていく、という内容だ。この作品、恋愛の要素も多いのだが、それだけではなく、大人同士の友情を描いた点でも高評価を得たドラマなのだ。  このドラマの見どころは、アラサー女子と、兄の元婚約者が忘れられない大学生、家庭問題に悩む主婦という、本来であれば縁もゆかりもない3人が、ぶつかりながら友情を育んでいく。悩んだとき、互いに夜中に飛び出して悩みを語り合う。そんな学生のような関係が、年齢や立場を超えて成立するシーンは、本作を象徴していると言ってもいいかもしれない。 「自分は大人なんだから……」と誰かに相談することもせず、一人で抱え込む必要なんてない。波留演じる小暮也映子と、松下由樹演じる北河幸恵は19も歳が離れている設定だが、ドラマの中では共に青春を謳歌している。“青春をするにも何かを始めるにも年齢は関係ない”そう思わせてくれる本作は、“立場”でがんじがらめになっている現代人に自由を感じさせてくれたドラマなのだろう。
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『私の家政夫ナギサさん』は“完璧じゃなくて良いんだ”と…
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