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名言の宝庫とSNSで話題の漫画『ちひろさん』。あの『ショムニ』の作者だった

 Twitter上で漫画『ちひろさん』が話題となっている。海辺にある小さなお弁当屋で働く元風俗嬢の“ちひろさん”が、様々な悩みを抱いた客に寄り添いながら交流を図り、解決法を提示していくという物語なのだが、そこで登場する“ちひろの名言”に胸を打たれる人が続出しているのだ。
ちひろさん

刊行から6年後のいま、SNSで話題の漫画『ちひろさん』(秋田書店)第1巻表紙

主人公の言葉にSNSで共感の嵐

 たとえば、「言い訳ときれいごとを全部引き算していくと最後に着色されてない裸の感覚が残るでしょ。答えはもう出てるのよ。あとはそれを飲み込む覚悟ができるかどうかだけ」というセリフ。何か物事に迷っている人は、背中を押されるような気持ちになるはず。  いま、何かと窮屈で生きづらい世の中ではあるが、ちひろさんの言葉に「勇気づけられた」「自分を好きになれた」とつぶやく人も少なくないのである。  じつは『ちひろさん』の作者である、漫画家の安田弘之さんは代表作にテレビドラマ化された『ショムニ』などがある。今回は、“ちひろさん”という名キャラクターの誕生秘話や、セリフに込めた想いについて伺った。

“ちひろさん”は「こんな人がいてくれたら」という願いから生まれたキャラ

 まず、現在ネット上で『ちひろさん』の人気に火がついていることに関して、安田さんに率直な感想を伺った。 「じつは『ちひろさん』の第1巻が発売されたのは2014年と、6年以上も前なんです。なので“新刊を出したわけではないのになんでバズったのだろう……”と驚かされました。ただ、Twitterでみなさんが熱心に感想をつぶやいてくださるのを見るに、自分がこの作品に込めたメッセージや、言葉にならない感覚が届いたのかもしれませんし、何より読んでくれた人がこんなにもいるのか! と、しみじみと喜びを噛み締めています」(安田さん、以下同)  本作の魅力の根幹を成す、「ちひろ」というキャラクター。彼女は安田さんにとって、いったいどのような存在なのだろうか。誕生秘話とともにお話を聞いた。  「“ちひろ”はもともと、彼女が風俗嬢時代を描いた前作『ちひろ』で誕生したキャラで、モデルはいません。私にとって“こんな人がいてくれたら嬉しいな”という想いを込めて生まれた存在で、描いているうちにその人物像が確立していった感覚です。  あと、『ちひろ』にも『ちひろさん』にも予め設定された“物語”や“展開”は一切ないんです。“ちひろさんは普段何やっているのかな?”“こういう人に出会ったらどうなるのかな?”などの想像の積み重ねでできているんです」
ちひろ

『ちひろさん』の過去を描いた前作『ちひろ』上(秋田書店)

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ネットで話題のセリフが生まれた背景
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