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“うがい薬”祭り、報道番組ディレクターが振り返る舞台裏

うがい薬が店頭から姿を消し、ネット上で高額転売

うがい「もうすでに、バックヤードにあった分も全部売り切れ。イソジンとは成分の違ううがい薬も大量に買っていく人がいてワケがわかりませんでした」  横尾さんが事の真相を知ったのは、休憩中にスマホでネットニュースを見てからだった。さらにその時、ネットのフリマサイト、個人売買サイトにも、うがい薬の出品が相次いでいた。前出の報道番組ディレクターの益子さんがいう。 「数百円のうがい薬が、その数倍の価格で販売されていましたね。なかには数万円の値がついているものもありました。医療品だから転売はダメなのではないか、サイトや専門家の取材に奔走しましたよ」(益子さん、以下同)  会見を受け、日本全国のうがい薬が店頭から消えた8月5日。大阪府知事が改めて会見に臨んだのだが……。 「誤解がある、うがい薬は治療薬ではない……など、完全にトーンダウンですよ。『コロナに打ち勝てる』とまでいっていたのに……がっかりでした」  野党の合同ヒアリングで厚労省側は、うがい薬が新型コロナウイルスに有効と判断できるかについて「時期尚早」と回答するなど、たった1日で“うがい薬祭り”は収束したのである。 「医師会や他の自治体もカンカンですよ。何を言っちゃってくれているんだと。結局、我々も国民も振り回されただけ。テレビのネタにはなりましたけどね」  うがい自体は、コロナに限らずウイルス対策には有効なものだろう。とはいえ、こんな馬鹿げた騒動があっては、何が真実か見えづらくなってしまうもの。幸い、人の生死に直接つながる騒動とはならなかったが、これを教訓としてコロナ禍を冷静に過ごしたい。<取材・文/森原ドンタコス>
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