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日本で新型コロナ対策はもう不要?「日本は集団免疫を獲得」説の中身

無症状や軽症でもPCR検査は陽性

 集団免疫が達成されたとすると、世の中の出来事もまるで異なって見える。  7月以降、とくに8月になってからPCR検査の陽性者が急増し、「1日の感染者1500人を超す」などと連日報道されて大騒ぎになった。何人もの知事が緊急事態宣言や警戒警報を出し、帰省の自粛を求めた知事もいた。  しかし、PCR検査を増やせば、陽性者が増えるのは当然のことだ。陽性者のほとんどは免疫力によって無症状か軽症状で済んでおり、大騒ぎする必要はない。しかもこの人たちは「新型コロナに対する免疫保有者」なのだ。こうした見方に立てば、知事たちの警告は全くの見当外れとなる。  新型コロナウイルスはいまなお感染拡大中なのか、それとも集団免疫状態になっているのか、政府も、東京都や大阪府も、急いで調査すべきだろう。

人を守る3重のバリア

 以上の説明では腑に落ちない方が多いかもしれない。集団免疫を正確に理解するには免疫の仕組みを知る必要がある。  前出の宮坂招聘教授によれば、人が病原体などの異物から身を守る「生体防御」は3重のバリア(防壁)から成っている。  第1は、異物が侵入してきたら、皮膚や粘膜とそこに存在する殺菌物資が阻止したり、死滅させたりする「物理的・化学的バリア」だ。  そこを突破してきた異物には、白血球の一種の「マクロファージ」やリンパ球の一種の「NK(ナチュラル・キラー)細胞」が立ち向かう。これが第2のバリアで、第1と第2を合わせて「自然免疫」と呼ぶ。自然免疫は、あらゆる異物に対して直ちに反応する。  二つのバリアを潜り抜けてきた異物を攻撃するのが、第3のバリアである「獲得免疫(適応免疫)」だ。これには、リンパ球の一種の「B細胞」が「抗体」(免疫グロブリンというたんぱく質)をつくって攻撃する「体液性免疫」と、リンパ球の一種の「キラーT細胞」が攻撃する「細胞性免疫」がある。  これらの獲得免疫は特定の病原体などに対して強い攻撃力をもつが、発動するまでに2日~1週間の時間がかかる。また1度経験した病原体は記憶しており、2度目の侵入にはすばやく反応する。この原理を応用したのがワクチンだ。  つまり、NK細胞・抗体・キラーT細胞などを合わせた総体が「免疫力=体の抵抗力」なのだ。
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自然免疫をフルに働かせる習慣
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