更新日:2020年10月07日 17:35
恋愛・結婚

同性結婚式ができるお寺を取材。ネット上では批判もあった

実際に体験してみた

同性結婚式

芸人・みほとけさん(右)とフリーアナウンサーの・久保沙里菜さん(左)(c)島崎信一

 ふたりの白無垢が並ぶ様子。これに違和感があるならば、その感覚は遅れているということなのかもしれない。この日、結婚式を体験したのは仏像大好き芸人のみほとけさんと、仏像好きフリーアナウンサーの久保沙里菜さん。PR写真の撮影を兼ねてとのことで、式を見学させてもらった。
同性結婚式

ふたりを先導するのは、お坊さん(c)島崎信一

同性結婚式

(c)島崎信一

 凛とした境内の雰囲気に、白無垢のふたりが映える。本堂へ向かう姿、日本風という意味では神前結婚式にも近いが、ふたりを先導するのは神主さんではなくお坊さんだ。
同性結婚式

お経が読誦される(c)島崎信一

 本堂に入りいよいよ挙式。祝詞ではなくお経が読誦され、ふたりの門出が祝われる。誓いの言葉の書かれた最後の欄には「新郎・新婦」ではなく「新婦・新婦」とある。この欄は、結婚するふたりの希望がそのまま反映されるのだという。
同性結婚式

ライスシャワーではなく蓮の花が降り注ぐ(c)島崎信一

 お堂を出て、2人に降り注ぐのはライスシャワーではなく蓮の花。不浄である泥の中から茎を伸ばし、清廉な花を咲かせる蓮は、仏教の理想とする在り方を体現するものとされている。

費用や規模は?

 実際に式を挙げる場合にかかる費用などについても聞いてみた。 「挙式費用は、撮影料込みで人数にかかわらず20万円です。それから、衣装代は別ですが私服でもOKです」と教えてくれた副住職には、衣装代を敢えて別にして私服をOKにした狙いがあるようだ。 「トランスジェンダーの人は身体的性と心の性が一致していないんですね。また、どちらの性でもないという方もいます。そのため、白無垢も袴もどちらも着たくないという方も居ました。残念ながら今はまだ、ユニセックスな婚礼衣装ってないですよね。なので私服でOKという風にしています」  現代の日本で、ようやく社会的に見えてきたLGBTQという人々の存在を、仏教界も注目しているようだ。 「ここ数年、お坊さん向けのLGBTQの研修が開かれ始めたんです。私たちは普段、お葬式などがメインの仕事なんですが、人の悩みや相談を受けることがあるのでLGBTQという存在も知っておかなくてはいけないというのがひとつ。  そしてもうひとつは、墓地に埋葬するときなどに『夫婦じゃないけど一緒に入りたい』という人が出てくると思うんですね。また、戒名も現在は男と女で分けられているんですが『私は男だけど、女の戒名が欲しい』という人が出てくるはずだということです」と教えてくれた。  徐々にではあるが、ここから一層、垣根のない社会が広がっていくことを願ってやまない。<取材・文/Mr.tsubaking> ※訂正:当該記事におきまして10/5公開時に「日本初、同性結婚式ができるお寺」と記載しておりましたが、実際には「日本初」ではありませんでした。混乱を招きましたことをお詫び申しあげます。(10/7 17:30)
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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