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同性愛者が「同じお墓に入れない、喪主になれない」問題をどうするか? 仏教が取り組むLGBT向け“終活”の斬新さ

 4月8日はお釈迦様の生誕日。各地で「花まつり」というイベントが行われたが、近年、寺ではこのような伝統的な行事だけではなくさまざまなイベントが催されている。  一昨年、日刊SPA!でも浄土真宗築地本願寺(東京都中央区)で開催された「イマドキ思春期の悩みとモヤモヤ 生と性と死から見る関係性のふしぎ発見!」で仏教が性教育に取り組む様子を紹介した。  実は、このような動きは2017年も留まらない。  先月24日、銀座の手紙寺・證大寺(浄土真宗 住職:井上城治)では「LGBT当事者と僧侶の座談会」が開催された。いま仏教の世界でもLGBT向けの取り組みが進んでいるのだ。その様子を紹介しよう。

「高野山自体が女人禁制。その中で、男が女になるなんてアホなこと、と言われました」

LGBT当事者と僧侶の座談会「生まれた時の性別は男だったんです。私自身は子供の時から自分のことを女のコだと思っていたのですが、変なものがついていたのね。ずっと、悩みながら男を演じてきてました」  この日、ゲストとして登壇したのは、高野山真言宗大僧都 柴谷宗叔氏。50歳を過ぎてから性転換手術を行い、僧籍の性別を男性から女性に変更した。  この時のことを、柴谷氏はこう語る。 「僧籍簿の性別変更というのは、高野山真言宗にとっては前代未聞のことでした。そもそも明治の始めまで、高野山自体が女人禁制。その中で、男が女になるなんてアホなこと、と言われました」  難航すると思われた僧籍の性別変更だが、幸運にも、当時の宗務総長(事務方のトップ)の理解と手助けにより、婚姻で苗字が変わった際と同様の「記載事項変更届」のみで対応ができたという。 「住民票の届出だってそんな簡単には変更できません。これは本当にありがたいことでした」  高野山にはいまだに女人禁制の場所や、女性が参加できない伝統儀式もある。 「私は、『女性になっちゃった』からそこに入れない。それでも自分の本来を取り戻したかった。いまは女性としてできることを最大限やり、自分自身の若い頃のように悩んでいる当事者(LGBT)の方々の相談に乗れる場所、駆け込み寺のようなところを作りたいと考えています」
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「同じお墓に入れない」「喪主になれない」
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