更新日:2021年09月08日 14:27
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「規制改革」を敵視する利権屋が「保守」を語り、ネトウヨ言論人として怪しげな言論を蔓延らせる/倉山満

「規制改革」を敵視する利権屋が「保守」を語り、ネトウヨ言論人として怪しげな言論を蔓延らせる

 もう一つ。ネトウヨ言論人は、自分の気に入らない人物に「新自由主義者」のレッテル張りを行うことが多い。もっとも、こうしたレッテル張りを使うネトウヨに、「では新自由主義と普通の自由主義の違いを言ってみろ」と問い詰めると、「竹中平蔵みたいな奴の事」と平気で答えてくる。最近、その竹中氏と会談したので、ネトウヨの菅攻撃は病的なまでに激化している。  一般的な新自由主義とは、冷戦最末期にアメリカのレーガン大統領やイギリスのサッチャー首相が行ったような、公務員制度を改革して特権を取り上げて無駄を削り、民間の活力を喚起する環境を整備して経済を活性化させる施策を行うことである。その中で最も重要な施策が、規制緩和である。  では、これに反対する勢力とは何者か。公務員の特権と、官僚に群がる業者の利権を守りたい連中である。要するに利権屋だ。少なからずの利権屋どもが「保守」を語り、ネトウヨ言論人として活動している。そして連中は、菅首相が政権の目玉政策として掲げる「規制改革」を徹底的に敵視する。  感情的議論が先行して実態が伝わらないのでは困るので、解説しておこう。

レストランにも無駄な規制

 そもそも、規制とは何か。政府が民間に対して指図する根拠となる法令である。無駄な規制も多い。  私の経験談で、一例をあげる。行きつけのレストランでワインを一本頼み、余ったら持ち帰らせてもらう。あるいは、別に一本買って帰るのが習慣だ。このコロナ禍では、苦しんでいる地元の自営業者を支えようと、営業自粛中は努めて行きつけのレストランを使った。  夕食後、行きつけの店を通りがかると店長がいた。そこで「ワインを一本!」と言うと、「ウチ、許可とっていないので…」と顔が曇るので、着席してワインをボトルで頼み一杯だけあけて、残りを持ち帰らせてもらった。ついでに言うと、その為だけにつまみを一皿頼んだ。要するに、食事中にボトルを頼んで持ち帰るのは良いが、空いていないワインの販売には別の許可がいるのだ。  この種の規制は、枚挙にいとまがない。官僚自身も、「その規制が何の為にあるか」には答えられなくなっているのだ。だから不要な規制を廃止しようとなるのだが、官僚は自分の権限を削られるのを嫌がる生き物だ。だから無駄な規制でも、廃止するには抵抗が大きい。
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無駄な規制で利益を得ている人も
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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