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あなたが「菅総理大臣」なら、どうするだろうか?/倉山満

さて、あなたが「菅総理大臣」なら、どうするだろうか?

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8日、永田町で行われた自民党総裁選の共同記者会見に臨む(左から)岸田文雄政調会長、菅義偉官房長官、石破茂元幹事長 写真/時事通信社

 本欄では何回も、「余力を残した上での安倍内閣退陣」を提言してきた。賢明にも採用されて、安堵している。安倍晋三さんには「長い間お疲れさまでした。今後はしっかり療養し、政界の外の大所高所で役割を果たしてください」と申し上げたい。  一方、“お友達”の枝野幸男さんは、野党新党の代表に当選、党名も立憲民主党と決まった。枝野さんは今後も自民党を支える気だろうか。  最初に前提となるルールを確認しておく。総理大臣は衆議院の首班指名で決まる。衆議院議員の大半は小選挙区制で選ばれる。小選挙区制は、与党内に反主流派を認めない制度だ。  なぜなら、小選挙区制とは一つの選挙区で一人しか当選できない制度だ。だから、その党で反主流派になれば、公認を得られない可能性もある。それが不満で党を出ていけば、「刺客」を差し向けられる可能性もある。代議士は落選が怖い。  最たる例が、郵政選挙だ。小泉純一郎首相が掲げる郵政民営化に、自民党内の半分が敵に回った。これに対し小泉首相(自民党総裁でもある)は、造反者を除名、対立候補を立てて戦い、党を制圧した。  かつての自民党政治のように活発すぎる派閥抗争は、今の制度では成立しえないのだ。その証拠に、8年間も反主流派だった石破茂派は干しあげられてしまった。  こうした制度の下で野党第一党が政権を獲得する意思が無いとしたらどうなるか。与党の政権は永遠である。時の首相は内外に敵がいなくなる。安倍首相が党内の目ぼしい敵は石破茂だけ、野党第一党は常にナンチャラ民主党。長期政権を築けて当然だったのだ。  この状況で、党首が枝野幸男で選挙互助組合を作る。だから、枝野さんは自民党の最大の“お友達”だと言うのだ。

既に熾烈な駆け引きが始まっている

 自民党総裁選挙(総理大臣を決める選挙である)は菅義偉官房長官の当確を前提に(14日、菅官房長官が選出)、関心は人事と総選挙の時期に移り、既に熾烈な駆け引きが始まっている。  二階俊博幹事長を嚆矢に、細田博之、麻生太郎、竹下亘、石原伸晃と五大派閥の領袖が次々と菅支援を打ち出した。異様なのは、細田・麻生・竹下の三大派閥の領袖が、合同記者会見で菅支持を打ち出したことだ。麻生氏の呼びかけとされるが、露骨な二階はずしだ。現に二階派は不快感を示している。  党を牛耳る二階幹事長と政府で副総理の麻生財務大臣は、安倍内閣の主流派だったが、常に主導権争いをしてきた。そして、安倍退陣とともに対立が先鋭化した。自らの留任とともに、官房長官に森山裕国会対策委員長を推す二階氏に、主流三派が業を煮やした格好だ。石原派の森山氏は、菅・二階の両氏とトリオを組み、「MSNライン」と称される。  両陣営は解散時期を巡っても、つばぜり合いを繰り広げている。竹下氏が「コロナが収束していなくても解散総選挙は打てる」と発言すれば、公明党の斉藤鉄夫幹事長と山口那津男代表は「コロナが収束していなければ選挙はできない」と主張、二階氏も同調している。二階幹事長を外すなら、選挙に協力しないとの恫喝だ。菅氏も「国民が望んでいることをやる」とトーンダウンさせている。公明党は、創価学会の意向を受けて発言している。創価学会は今や自民党の最大支持団体でもあるので、時の首相も無下にできない。
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