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ネトウヨ総理に残された道はただ一つ。潔い退陣だけだった/倉山満

もはや、ネトウヨ総理に残された道はただ一つ。潔い退陣だけだった

言論ストロングスタイル

8月25日発売号の本連載で「安倍応援団諸君と同様、休んでくださいと思う。本当に体を壊す前に」と見出しを付けたが、3日後の28日、首相はとうとう辞任を表明した 写真/朝日新聞社

 私は昨年7月の参議院選挙を機に、安倍内閣への消極的支持を捨て、積極批判の立場を採った。  思い起こせば、2013年10月1日に安倍晋三首相は消費増税を宣言し、自らの命綱であるアベノミクスを腰折れさせた。その後も弱すぎる野党に助けられ続け、憲政史上最長政権を築いた。  消極的支持の間に増長したのが、「ネトウヨ」どもだ。連中は「安倍内閣を一言でも批判する者は保守ではない」とばかりに異論を封じた。狂った連中だ。狂人に正論は通じない。だから、好きにやらせてやった。その結果、何ができたか。消費税増税すら止められない総理大臣を、北朝鮮やロシアや中国が恐れるはずがない。それどころか、官僚機構や自民党の既得権益層からしても、「何も怖くない総理大臣」だ。彼らからしてみれば、未来永劫、総理大臣でいてくれて構わない。  割を食うのは国民だ。少しばかり景気を回復したが、それも二度の増税とコロナで吹っ飛んだ。今どき、「安倍外交は史上最高」など、よほどの狂信的な安倍応援団でなければ恥ずかしくて言えまい。この8年間、すべての周辺諸国の靴の裏を舐め続けただけだ。確かに靴の裏の舐め方は上手かったが、それが何になったと言えるのか?  私は「安倍内閣には何の実績も無い。吉田茂や佐藤栄作ら、歴代の長期政権を築いた首相に比肩する実績を一つでも挙げてみろ」と挑発したが、安倍応援団からは感情的な反発があっただけで、有効な反論は何一つなされなかった。  そして8月24日、連続在任記録で佐藤内閣を超えた。その日の新聞とテレビは一斉に「実績はあるがレガシーはない」と書き立てた。私の言った通りではないか。  一度として100議席を超えたことが無い野党を相手に、邪魔する者などいない状況で、安倍晋三さんは支持者のネトウヨ以外から誰も評価されない、可哀そうな存在と化した。もはや、ネトウヨ総理に残された道はただ一つ。潔い退陣だけだった。

国際情勢は緊迫

 さて、日本のような小国と関係なく、国際情勢は緊迫している。  コロナ禍など利用する道具にすぎないとばかりに、米中のつばぜり合いは続いている。そして27日、中国は南シナ海にミサイルを発射した。同地域の監視を強めるアメリカに対し、牽制の意味と見られている。  一部のイカサマ言論人は「アメリカが中国をやっつけてくれる」と大はしゃぎだ。さらに頭の悪いことに、「世界は中国を潰そうとしている」「特に米英は安倍外交を歓迎している」などと、ネトウヨの喜びそうな扇動で商売をしている。  これに、居酒屋で野球の応援をするかの如く、ネトウヨどもは狂喜乱舞する。残念ながらこうしたマイノリティーの声がやかましく、少なからずの人が惑わされている。  日々の仕事に忙しく、基礎的な国際政治の勉強などする暇が無い善良な人々が、一応は作家だの評論家だの肩書のある人がそれなりのメディアで語ると、「本当なのか?」と信じたくなる気持ちはわかる。  国際政治は魔法ではないのだから、少し本筋を見れば嘘には騙されなくなる。
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そもそも「中国をやっつける」とは、何なのか
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