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菅義偉首相が誕生し、アベノシンジャーズは彷徨う亡者と化した/倉山満

首相官邸の公式Twitterより

首相官邸の公式Twitterより

菅義偉首相が誕生し、アベノシンジャーズは彷徨う亡者と化した

 亡者たちが彷徨っている。アベノシンジャーズのことだ。  連中は、「安倍さんを応援しない奴は保守じゃない!」と安倍晋三前首相の悪口を言う人間の悪口を言うことで飯を食ってきた。そして言い逃れできないと、「それはすべて菅官房長官がやったことだ」と責任転嫁した。特に検察人事をめぐる一連の黒川騒動では、「黒川〔弘務東京高検検事長:当時〕さんと仲がいいのは菅だ! 安倍さんは関係ない!」と強引な主張を展開した。  また、「親中派の新自由主義者の菅が安倍さんの足を引っ張っているんだ!」などと言いふらした輩が大量にいる。何を根拠に親中か不明だし、その手の議論で「新自由主義」と普通の自由主義を区別した御仁に会ったことが無い。  その安倍さんが、いなくなった。そして悪しざまに罵ってきた菅義偉官房長官が新首相となった。昨日までの己の言論を忘れすり寄ろうとする者、錯乱する者……。哀れなり。

新内閣が発足

 さて、新内閣が発足した。日本の総理大臣は自民党総裁である。自民党総裁は、派閥の談合で決まる。  安倍内閣では、石破派を除き総主流派体制だった。その中でも、細田・麻生・二階の三派が主流派、岸田・竹下・石原が準主流派の扱いだった。総裁選を通じ、岸田派が反主流派に転落、竹下・石原両派が主流派入りした。そして安倍内閣で要だった、麻生太郎副総理・財務大臣と二階俊博幹事長の主導権争いが激化している。
言論ストロングスタイル

※太字は特に重要なポスト

 いち早く菅支持を打ち出した二階幹事長に対し、細田・麻生・竹下の三派が共同記者会見で菅支持を打ち出した。麻生氏の呼びかけで、二階はずしを目論んだとのこと。  二階派は、二階幹事長が留任。長らく入閣できなかった平沢勝栄氏を大臣に押し込み、政権の目玉である携帯電話値下げに切り込む総務大臣も得た。無難な論功行賞である。武田良太大臣は、突破力に定評がある。  安倍政権末期、「座敷牢」に閉じ込められた感があった菅官房長官(当時)を支えたのが二階幹事長と、石原派の森山裕国対委員長だ。 「MSNライン」と称される。二階氏は森山氏を官房長官に推したが、さすがに通らなかった。だが、石原派は国対委員長の他に、これまた今まで入閣できなかった坂本哲志氏が入閣。  二階・石原両派とも満足だ。
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対する麻生派は…
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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