更新日:2021年11月26日 11:38
仕事

「出演者がマスクしてない!」視聴者からのクレームにテレビ局はゲンナリ

記者のSNSアカウントに大量のDM

 全国紙の東京本社勤務・依田武明さん(仮名・50代)も、読者から寄せられるご意見に「ワケのわからないもの」が増えたと嘆息する。 「最近多いのが、米大統領選の“不正選挙”を報じろ、というやつですね。トランプ大統領が負けたのはバイデン次期大統領側に不正工作があったからだ、という主張ですが、電話や投書が止まず、記者が個人でやっているSNSを調べては、そこに何十という数のご意見が送られてきています。たしかに色々な見方がありますが、トランプ大統領が属する共和党も、トランプ氏の敗北を事実上認めているのに……」(依田さん)  依田さんの元にも、菅首相の動静を報じるだけで、やはりご意見が飛んでくるという。 「菅首相の動静なんか報じるな、自民党のことを取り上げるなんて右翼か、という風にくるんですね。右とか左というだけでなく、情報を俯瞰的に見る人と、自分の信じたいことしか信じない人の分断とでも言いましょうか……そんな気がしています」(同)  アメリカでは大統領選の決着はついたものの、納得できないというトランプ大統領支持者が米議会になだれ込み、暴動を起こして死者まで出る事態に発展してしまった。

「望遠レンズは怖くて使えない」カメラマン

カメラ そして、ここ日本でも「分断の果て」が垣間見られるという。こちらは大手通信社の関西支局カメラマン・山根拓哉さん(仮名・30代)の経験談。 「商店街で人の出を撮影していると、後ろから蹴りを入れられました。抗議したところ『嘘をつくな』と詰め寄られまして……」(山根さん、以下同)  山根さんは、年末の人の出を撮影しようと関西の市街地にある商店街で撮影をしていたが、その時使っていた「望遠レンズ」について指摘されたのだという。 「望遠レンズで撮影すると、手前の物と遠くの物の遠近感が小さくなる“圧縮効果”が現れます。この圧縮効果を使って、わざと人出が多く密に見せているのだろう、というんです」  実際、SNSにも新聞社やテレビ局などが「圧縮効果」のある写真や映像を使って、コロナ禍でも人手が多く「けしからん」という論調を作り出そうとしている、という指摘が相次いでいる。だが、山根さんが説明する。 「わざと混雑しているように見せようという意図は全くなく、こうした撮影はだいたい望遠レンズで行ってきました。別にコロナ取材に限らず、今までもそうしてきたので。閑散とした様子を表現するときにも望遠レンズは使うんですよ。  なのに、デマ写真だ、印象操作だとものすごいクレームが会社に寄せられて。写真には撮影者の個人名が載せられるので、クレームを受けるのが怖いからと、人出撮影で望遠レンズを使いたがらないカメラマンも出てきました」  マスコミに寄せられる「ご意見」は、昨年3月以降に急増し、コロナが落ち着いた秋頃にはいったん収束の傾向が見られたというが……。感染再拡大によって分断が進み、また大量発生してしまうのか……。<取材・文/森原ドンタコス>
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