家族経営の町中華を襲うジワリとした不況「売上げ半減ではないけれど」
コロナウイルス感染拡大の猛威が収まらない中、主要都市部を中心に「緊急事態宣言」が発令されて3週間あまり。昨年末には、「Go To EAT」などのキャンペーンで持ちこたえたように見えた飲食業だが、ここにきてまた時短営業を強いられるなど、苦境に立たされている。
神奈川県在住の細川拓哉さん(仮名・40代)は、創業約50年になる中華料理店の三代目だ。駅からほど近い商店街に店を構えている。立地なども恵まれていると言えるが、コロナ禍以前の客足にはほど遠いという。
「うちは、祖父の代から続いている中華料理屋。この場所で店をやるようになったのは、おやじの代からですが、常連客もいて雑誌などにも取り上げられたこともあるんです。今、店は店員を雇える状況ではなく、70代になる高齢の母と、妻に手伝ってもらって切り盛りしています」
コロナ禍以前は、ランチの時間帯になると近隣に勤めているサラリーマンやOLなどでにぎわっていた。
「ランチの時間帯は近隣の会社に勤務しているサラリーマンやOL、ご近所の年配の方々、休日は家族連れが来てくれていました。でも、在宅勤務が増えてかランチも店内で食べるお客さんが激減しましたね。それでも、二度目の緊急事態宣言の前まではラフな格好の若い人がお昼ご飯を食べに来てくれていたんですよ。駅近なので、駅付近に用事があって手軽に食事を済ませてサッと出てくみたいな使い方ですね。
ディナー営業は、今までは仕事帰りのサラリーマンが数人で飲みに来てくれてたんです。あとは常連さんの一人飲みが多かった。たまに宴会予約や、イベントの貸し切りなどもしていたのですが、コロナが流行りだしてからは、1件も団体予約が入っていない状況です。全体的に来客数が減っています」
しかし、政府からの飲食店への支援事業などは受けていないのだろうか?
「持続化給付金を受給したいのですが、売上が半減したわけではなく、限りなく半減に近い状態なんです。そのため受給せずに店の営業を続けています。宴会が入らない、アルコールを注文するお客さんが来ない、時短営業でサラリーマンがちょっと寄って食べていくのも難しい。今回の二度目の緊急事態宣言で3重苦の状態です。
それなのに、お客さんが来るたびにアルコール消毒をしたり、パーテーションを用意したりと感染対策の出費はかかる。困窮というほどではないけれど、明らかに復旧が厳しい状況。まさに土俵際で踏ん張っている状態です。でも祖父の代から続いている店を、ここで潰すわけにはいかないんです」
細川さんのような中華料理店は、単価が高くないのも厳しい状況に影響している。
「うちの人気メニューは、レバニラ炒めや天津丼というような手軽なもの。ランチ単価も、500円から1000円とぎりぎりの金額でやっています。ディナーも2000円くらい。頼みの綱であるアルコールも、今は時短営業なので戻る見込みもないです。
でも子どもの通っている幼稚園のママ友が、テイクアウトを買いに来てくれたりするんです。妻のママ友人脈のおかげで、助かったりしますね」
そこは老舗料理店でも同じようだ。
人気の町中華。コロナ禍で団体予約がゼロの日々
もうギリギリ…
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出版社やWeb媒体の編集者を経て、フリーライターに。趣味はプロレス観戦。ライブハウスに通い続けて四半世紀以上。家族で音楽フェスに行くのが幸せ。X(旧Twitter):@rizeneration
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