ライフ

「小さい店でよかった」6万円の協力金でわかれた飲食店の天国と地獄

「正直、バブルですね」

 実際に「濡れ手で粟」状態にあると認めるのは、埼玉県内で中華料理店を営む中野健一郎さん(仮名・50代)だ。中野さんは、自身が経営する店のほか、妻が取り仕切るスナック、実家の母親が経営する小料理店の経営にも携わっている。 「正直、バブルですね(笑)。2か月間の協力金だけで、ざっと1000万円以上。妻のスナックや実家の小料理店なんか、丸一日開けていてもボウズ(客がゼロ)の日も少なくないから。協力金で完全に得をしています。商店街で飲食やってる他の店も同じようなところが多くて、それを聞きつけた車のディーラーが営業で一軒一軒まわっているほどですよ」(中野さん)

コロナ後にどう生きるのか

閉店のお知らせ 仲間内では「借金を返そうか」「投資にまわそう」など、にわか「バブル話」に花が咲いているというから、飲食業界はまさに6万円で「天国と地獄」に分断された状況なのだ。  しかしながら、と中野さんが続ける。 「でも結局、これはみんなの血税じゃないですか。もらえない人を前に、遊び呆けたりしていれば、いつか自分に返ってくる。みんなに見られている。飲食以外の人たちと新たな事業の話を立ち上げるなどして、コロナ後にどう生きるのか考えています。せっかくの協力金、これを死に金にするか生き金にするか、人それぞれなんですから」(同) <取材・文/森原ドンタコス>
1
2
おすすめ記事