「1日4万円の協力金ではムリ」大阪のスナックが闇営業せざるを得ない事情
3月5日、政府は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、首都圏1都3県に発令している緊急事態宣言を再延長することを決定した。飲食店への営業時間短縮要請は、首都圏1都3県のほか大阪府大阪市内などを対象に午後9時までに継続される。
これに「1日4万円の協力金ではとても足りない」と嘆くのは、大阪市内でスナックを経営するママ(36歳)。要請に応じた場合の協力金は東京都と神奈川県は1店舗あたり一律124万円、埼玉県と千葉県は1店舗あたり84万円、大阪は2月まで1日あたり6万円だったのが3月からは1日あたり4万円に引き下げられた。
「元々、営業時間が午後9時からなので、昨年12月に時短の対象エリアが大阪市内全域になって以来、休業するしかありませんでした。最初はすぐに解除されるだろうと思い、レギュラーキャストには1日1万円の休業手当を保証していたんです。
レギュラーキャストは2人いて、1か月あたり1人25万円。計50万円なのですが、そのときはひと月弱で150万円ほどが支給されることになっていたので払うことができました。しかし、今年に入ると首都圏に緊急事態宣言が発令されてさらに関西にも。しかし、1日あたり6万円の協力金が支給されたので、キャストの保証も継続することにしたんです」
2月末、待ちに待った関西の緊急事態宣言が解除された。だが、時短要請は解除されることなく協力金だけが引き下げられたのだ。
「今回の大阪の時短営業要請は3月1日~21日までで、全期間協力した店舗には家賃に応じて市独自の協力金が上乗せされるそうです。しかし、対象となる家賃は60万円からなのでうちのような小さなスナックは上乗せされません。
協力しても84万円しか支給されないので、キャストの保証を出すとなると21日間で2人で36万円の出費となります。店の家賃は18万円で、他にもカラオケのリース料金や開業資金の返済などを支払うと私の手元には17万円ほどしか残りません。なので、3月からは時短には応じず通常営業に戻すことにしたんです」
しかし、いざ通常営業に戻るとなると気になるのが周囲の目だという。
「この辺りは時短に協力しているスナックが多いので、どうしても周りの目は気になります。うちが昔からある店ならそこまで言ってこないと思うんですが、オープンしてまだ3年目なんです。なので、今はお客さんからの予約が入ったときだけ営業するという形にしています。しかし、外から見て電気がついていれば営業していることがバレてしてしまうので、ブラインドは締め切って照明も最小限に落としています。
あとは、仲の良いスナックのママが午後9時以降にアフターでお客さんを連れてきてくれるときも開けています。レギュラーの子には3月から保証が払えなくなったので、予約が2組以上ある日だけ交代で出勤してもらっています。2人とも1人暮らしなのでもっと出勤させてあげたいという気持ちはあるんですが。でも、最近、昼間のアルバイトも始めたと言っていたので少し安心しました」
時短要請は続き協力金だけが引き下げられた
周囲の目がこわい
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東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano
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