「イクメンで家庭円満」のウソ・ホント
妻の育児に理解を示し、積極的に子育てに参加する夫・イクメン。今年月6月からは、男性の子育て参加、育児休暇の取得促進を目的とした「イクメンプロジェクト」も厚生労働省より発足している。国立社会保障・人口問題研究所の統計によれば、合計特殊出生率(15~49歳の女性一人が出産する平均出生児数)は05年の1.26をピークに年々増加傾向にあり、最新の08年の数字は1.37とバブル期の水準に戻っている。夫婦のあり方も共働きが主流となりつつある今、「子育てが負担にならない社会」を目指し、“イクメン”を推奨することは歓迎すべき風潮であるように思える。しかし、その流れに懐疑的なのはIT会社でSEとして働くKさん(35歳・結婚歴5年)。
「もちろんイクメンであることが理想なのは間違いないです。子供と過ごす時間は大切だし、何より可愛いくて仕方ないですから。けど、僕の働いている会社じゃムリ。休日出勤、深夜までの残業は当たり前だし、大企業と違ってウチみたいな中小のIT企業じゃ育児休暇なんて申請しようものなら、即クビになってもおかしくないですよ。そのくせ、朝食時にテレビでイクメン情報が流れると、妻が凝視してくるんです。無言の圧力に耐えきれなくなって、食事もそこそこに逃げるように家を出ます」
テレビや雑誌で紹介されるのは「イクメンで家庭円満、人生絶好調」な人たちばかり。ホントのところはどうか? てなわけで、25~45歳の男女を対象に、「我が家のイクメンさん大募集。イクメンがいる家庭の長所と短所は?」という質問項目を投げかけてみたところ、以下のコメントが寄せられた。
「お風呂に入れてくれたり、子供の相手をしている夫の姿を見ると、ニンマリしちゃいます。父親ならではの関わり方をしてくれると、子供の将来にも影響が良さそう。短所? ありませんよ、そんなの」(30歳)
「育児に関心を持つようになってから、寄り道しないでまっすぐ帰ってくれるようになって。夫婦のコミュニケーションも増えました。欠点は子供がなつきすぎちゃうことかしら……ウフッ」(27歳)
仕事も子育ても頑張る素敵なパパさんにホクホクなご様子。一様に「短所らしい短所はない」と回答する女性陣に対して、男性側からはこんな不満の声が……。
「妻の負担を軽くしようと始めたはずが、最近、家事を平気でしなくなった気がします」(41歳)
「子供はかわいくて仕方ないけど、妻はかわいくならない」(34歳)
「食事やオシメなど、要求されることが増えてきた。ひととおりマスターしてからは、休日、子供を僕に押しつけて女友達と買い物に行ったり旅行に行くことが増えてきたけど、これって本末転倒では?」(31歳)
なかには「イクメンブームに乗せられた俺は、主婦雑誌や関係団体の陰謀的プロパガンダに引っかかった」(33歳)なんて嘆く人も……。
イクメン夫とそれを喜ぶ妻の間には、意識のズレが多少なりともあるようだ。もちろん、程度の差こそあれ、男が育児に積極的になるのは喜ばしい話。うまくバランスを取りつつ、自分なりのイクメン像を見つけてほしい。
取材・文/スギナミ
※文中の写真はイメージです。
◆関連書籍
『男の子を伸ばす父親は、ここが違う! 』
松永暢史 著
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