HKT48森保まどか卒業「ここが青春でよかった」
HKT48の森保まどか(23歳)が5月29日、福岡の北九州ソレイユホールで卒業コンサートを開催し、10年のアイドル活動に幕を下ろした。選曲や演出にも携わったというセットリストには、1期生としてグループを愛してきた彼女らしさが溢れていた。まず自身のピアノソロアルバムに収録された曲「Lotus」でオープニングを飾る。続く「恋の指先」のイントロを弾くと、メンバーが登場。その後は、「キスは待つしかないのでしょうか?」や「しぇからしか!」などHKT48のヒット曲を披露し、会場を盛り上げた。
最初のMCで森保は、「最後まで開催できるかが危うかったから、まずは無事開催できたことに感謝したいと思います!」と第一声。また、卒業コンサートのために長い髪のエクステを付けたことを明かし、「(デビュー当時から知ってる)昔のファンの方にも喜んでもらえると思って」と話した。ユニット曲中心のブロックでは、HKT48を担う田中美久と「ハートの独占権」や、約2年半ぶりに同じステージに立った宮脇咲良とは「友達でいられるなら」を歌唱。そして、バラード曲「夜風の仕業」は生まれ故郷の長崎の夜景映像をバックにしっとりと歌い上げた。
その後はHKT48の最新シングル曲「君とどこかへ行きたい」をはじめ、「初恋バタフライ」「早送りカレンダー」「メロンジュース」「12秒」など、後輩たちと顔を見合わせながら最後の大舞台を楽しむ彼女が印象的だった。10年前、HKT48は平均年齢13.8歳ともっとも若い姉妹グループとして誕生。そしてAKB48から移籍した指原莉乃が加わり、日本武道館での単独コンサートや、姉妹グループでは初の紅白歌合戦出場も果たす。そんなグループの勢いを知る彼女は「最近のHKT48を見てると、その頃に近い感覚を思い出すんです。若手選抜をつくれるぐらい将来有望な若手、それにエース級のメンバーもいる。今は選抜ではない子でも、武器を見つけて広げていこうと努力をして、それぞれ個々の仕事を獲得していく姿が頼もしい」と笑顔を見せた。本編のラストに彼女が6年前、AKB48楽曲に初選抜された「希望的リフレイン」を選んだことも感慨深く見つめるファンが多かった。
アンコール後は、胸元に音符が散りばめられたラベンダー色のドレス姿で登場。卒業ソング「この道」が歌い終わり、マイクを下げると会場は大きな拍手に包まれた。今まで苦楽を共にしてきたメンバーに「ここまで一緒にHKT48を作ってくれてありがとう。みんなは明るくて、可愛くて、家族みたいで、一緒にいると笑顔が絶えません。これからも馴れ合いじゃなくて、仲良しのグループで居てほしいと思います。学校とも部活とも縁遠かったけど、ここが私の青春でよかったと思います」と思いを伝えた。続けて、HKT48を支えるスタッフに向けて、「グループにはまだ中学校を出たばかりの子もいます。芸歴は長くても社会人経験はありません。間違いに気づいたら1番最初に叱って、もし誰も叱らなくなっても1番最後まで注意してあげてください。見放さないで居てくれるということが、私たちにとっての原動力です」と後輩たちへのサポートをお願いしていた。
そして、自身のファンにメッセージを伝える前にひと呼吸。「アイドルファンってすごいなって思うんです。私は二次元だったり、人が作ったモノしか好きになったことがないから、イメージとのギャップ、言動や見た目の変化とかで落ち込むことはありません。だけど、ファンの皆さんはそれぞれのやり方はありますけど、生身の人間である私を応援してくれてる。これは相当すごいことだなって思います」と振り返り、「私は、『もったいない』という言葉をよく言われてしまう。それは嬉しくもあり、悔しい言葉でもあります。もしこうだったらと想像することはあるけど、後悔したことは一度もありません」と前を向いて語りかけた。「だから、私を推し続けてくれた意味とか、森保まどかじゃなきゃいけなかった理由がもしあったら、忘れないでいてくれたら嬉しいです」と気持ちを伝えきると、改めてファンから大きな拍手が送られた。
卒業後の進路は未定ということで、SNSには「これから職探しと住まい探しの旅へ出よう」という冗談半分(!?)の投稿も。10年間のアイドル人生を完全燃焼した彼女が、次はどんな世界に飛び込んでいくのだろうか。嬉しい報告を期待しながら待ちたいと思う。
取材・文/吉岡俊 写真/©︎ Mercury
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ