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猛毒ヒアリ、また東京にいた。60回刺された専門家に聞く“ヒアリとコロナ”

コロナ対策に優れた国はヒアリ対策もうまい

村上:ヒアリについては、いまのところ日本で大きな被害が発生するということはないでしょう。でももし、いまの中国と同じようなレベルになると、気づいたときには公園で遊べなくなるといった事態になりかねません。中国にヒアリが入ったのが2005年で、2018年にはすっかり手をつけられない状態になりました。10年もあれば、まったく違った状況になるんです。 ――新型コロナウイルスも、2020年春にここまで長引くと思いませんでした。 村上:ヒアリの完全防除に成功しているのが、ニュージーランドだけ。かなり熱心に防除に取り組み効果が出つつあるのが、オーストラリアと台湾です。いずれも、新型コロナウイルス対策に成功している国です。外から入ってくると厄介で大変だから、きちんと早期に対応しましょうという、合意が取られている国ほど上手なんです。 いたずらに怖がる必要はなく、早い段階でそれなりのコストをかけて防いでいくことが重要です。完全な定着をさせないために、みなさんにも関心をもち続けてほしいと思います。 【村上貴弘(むらかみたかひろ)氏 プロフィール】 九州大学持続可能な社会のための決断科学センター准教授。 1971年、神奈川県生まれ。茨城大学理学部卒、北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程修了。博士(地球環境科学)。研究テーマは菌食アリの行動生態、社会性生物の社会進化など。NHK Eテレ「又吉直樹のヘウレーカ! 」ほかヒアリの生態についてなどメディア出演も多い。著書に『アリ語で寝言を言いました』、共著に『アリの社会 小さな虫の大きな知恵』など。 <文/鈴木靖子>
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