スポーツ

吉田、酒井、遠藤。サッカー五輪代表「オーバーエイジ枠」3選手の責任と葛藤

24歳以下の枠を取ることにプレッシャー

 このオーバーエイジ枠というルールは他のどの大会どの競技にもない独特なルールで、選出された選手も特別な立場となり自ずと責任のある役割を任されるリーダーとなる。オーバーエイジの選手としてU-24日本代表に参加している酒井宏樹は、オーバーエイジ枠で選出された選手の実情について明かした。 「ロンドン五輪のときは正直オーバーエイジの選手を100パーセントで歓迎していませんでした。今回もそういう選手が少なからずいると思います。(24歳以下の選手の)枠を取ってしまっている以上、プレッシャーを感じています」(6月10日、代表合宿中に行われたオンライン会見での発言を抜粋、以下同)  続けて、その責任についても語っている。 「ピッチ内でもピッチ外でも引っ張っていかなければならない立場だと思います。でも、そういうタイプではないので自分の場合はピッチ内のプレーで示していかなければなりません」

強い抗議の姿勢は「マネージメント術」

 同様にオーバーエイジ枠のひとりでキャプテンとしてもチームを牽引することになった吉田麻也も、その在り方についてコメントしている。 「何が足りないかではなく何をしなければならないかを考えて挑んでいきたい。よりベターになるようピッチ内外でまとめていけたらと思います」(7月5日、代表合宿中に行われたオンライン会見での発言を抜粋、以下同)  さらに、選出について「結果で恩返しするしかない」と感謝の気持ちを示し、良い結果を残すために必要なことを明かした。 「そのためには強く要求すること、お互いに高め合うことが必要。自分を犠牲にしてチームのために日本のために戦えるかは、自分がカギになると思っているのでうまく先導したい」  その吉田麻也は6月に行われたガーナ戦(6-0)で、とある行動をもってチームを先導した。U-24日本代表が5点をリードする展開で相手は集中力が欠如し荒々しいプレーが増えていた。その最中で田中碧が危険なタックルを受けてピッチに倒れ込んだ。それを近くで見た吉田麻也はタックルをした相手選手に激昂しながら詰め寄り、強い抗議の姿勢をアピールした。試合後にこの場面を振り返った吉田麻也は、マネージメント術であったことを明かした。 「僕は(前A代表キャプテンの)長谷部さんみたいに優等生ではありません。かわいい後輩が削られたら、やっぱりそこは行かなければなりません。オーバーエイジなのに大人気ないと思われるかもしれませんが、これもゲームマネージメントのひとつです。特に、練習試合でのこのようなシーンは、次にやったら許さないという意思表示を出さなければなりません。実際に、あの後のプレーではほとんどラフプレーがなくなったように思います。ジャッジであったり、サポーターであったりを味方にするというのも試合をマネージメントするひとつの術で、そういうところをみんなに見て感じてほしい」(6月5日、ガーナ戦後のオンライン会見での発言を抜粋)
次のページ
一体誰のための何のための大会なのか
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ