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『孤独のグルメ』原作者が味わう、独り時間にやさしい幸運の不死鳥ビール

 外でお酒を飲む機会はめっきり減ってしまったが、やはり仕事終わりのビールの味は格別だ。時代に合わせて人々の嗜好も変化し、好まれるビールの味も変わってきたが、誕生から30年以上ものあいだ変わらずビール通に愛され続けてきたビールがあるのをご存じだろうか。その名は「アサヒ生ビール」。限られた飲食店でしか飲めないこのビールを、愛飲者は「マルエフ」と呼ぶ。その由来は、幸運の不死鳥を意味する「Fortune Phoenix」の頭文字を取った開発記号のFを丸囲みしたもの。今回は、そんな知る人ぞ知るビール「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」の魅力を探るべく、人気ドラマ『孤独のグルメ』の原作者で、ビール好きとしても知られる久住昌之氏と共に、オープンから現在に至るまで「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」一筋という新橋のビアホール『ビアライゼ’98』を訪れた。 qusumi 創業は1998年。磨かれたカウンターや柱は飴色の光沢を放っている。カウンター内でほほ笑むのは、オーナーの松尾光平氏。伝説のビアホール『灘コロンビア』でビール注ぎの名人・新井徳司氏に師事し、その思いと技術を受け継いだ『ビアライゼ’98』をビールの聖地と呼ばれるまでに育て上げた人物だ。この日の気温は35度越え。カウンターに腰掛けた久住氏も、「こんな日は飲まないと煮干しになっちゃうよ」と麦ジュース(ビール)への渇望を口にする。
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松尾氏に注いでもらったアサヒ生ビール(通称マルエフ)を飲んでゴキゲンの久住氏

 そこで松尾氏は、師匠から受け継いだ昭和24年生まれの氷冷式サーバーのコックを早速ひねる。その瞬間、通常のサーバーの比ではない勢いでビールが流れだす。驚いたことに、松尾氏は最初に氷水でグラスを洗うように回すと流しさった。グラスに付着した匂いを取るためだ。改めてビールを注ぎ、その勢いで出来たキメの粗い上部の泡をバターナイフでぬぐい去る。そこにビールを継ぎ足す二度注ぎにより、ふるふると揺れるコシのある泡が出来あがった。グラスが久住氏の前に差し出される。
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ビール好きの聖地として親しまれるビアライゼ’98では、発売以来アサヒ生ビール(通称マルエフ)を提供し続けている

限られた飲食店でのみ飲み継がれてきた味。それが「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」

久住:この佇まい。美しいよね。(一口飲んで)あー、なんとまぁ、おいしい(笑)。思わず笑っちゃうね。どうしてもこうも違うのかと思うんだよね。家だとロング缶1本でお腹がいっぱいになってしまうのに、こうしてこの店で注いでもらったビールだと何杯でも飲めてしまうのはなんでなんだろう?
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この日の気温は35度超え。絶好のビール日和だ

松尾:柔らかい口当たりで、コクがあってキレもあるでしょう。その昔、師匠の新井徳司が注ぐビールは日本一と言われていたのですが、その時使っていたのが1986年生まれのマルエフなんですよ。当時業績不振だったアサヒビールさんが、不死鳥のような復活を願って、フェニックスの頭文字「F」を取って開発記号を「マルエフ」としたんですけど……。 久住:あれ、でもフェニックスの頭文字って……。 松尾:そう。「Phoenix」なので「P」なんですよね。後から間違いに気づいて、「幸運(Fortune)のビール」ということにして、通称マルエフと呼ばれるようになったんです(笑)。 久住:アハハ、僕も小学校の自由研究「オーストラリア」の表紙にでっかく「О」って書いた。「A」です(笑)。 ガゼン親近感がわいてきました(笑)。 松尾:ところが、その誕生から1年くらい後にスーパードライが生まれた。キレと辛口がウリのスーパードライは当時ものすごく新鮮で、ビールの苦みが得意じゃない人にも飲みやすかったこともあってまたたくまに爆発的にヒット。それに押される形でマルエフは缶の終売が決まったんです。 久住:でも、その後もお店ではマルエフを出し続けていたんですよね? 松尾:はい。業務用だけでも残してほしいとお願いして、作り続けていただけることが決まり、それを使い続けてきました。それぞれのビールに魅力があるけれど、柔らかな味わい、まろやかさ、ビールの炭酸の粒子が細かく喉を通っていく感覚はほかのビールでは味わえないですからね。久住さんもそうでしょうけど、私も一途なんですよね(笑)。 久住:わかります。たしかにマルエフは飲み飽きない味ですもんね。僕はまろやかな味わいのビールが好きだから、マルエフの柔らかさはちょうどいい。僕も一度好きになったらずっと同じのでいいタイプですね。漫画にしたって、デビューして40年、ずっと飯のことで悩んでいるバカな男を描き続けているし(笑)。  早くも1杯目を飲み干した久住氏は、目の前のビールサーバーが気になって仕方がない様子。松尾氏が、蓋を取ってサーバーの中を見せてくれた。サーバーの中にはビールを通すためにらせん状の管が入っている。伸ばすと12mに及ぶという管をゆっくり通過するうち徐々にビールが冷えていく。『ビアライゼ’98』のビールがまろやかな味わいになるのはこのためだ。 久住:本当に(サーバーの)中は氷と水だけなんですね。 松尾:単純な造りで、ここなんて半田付けの跡が見えるほどです。いまは一瞬で温度を下げる瞬冷式のサーバーが主流ですから、この炎天下に運ばれてきた樽をそのまま繋いでも問題ない。ところが、氷冷式に常温の樽を繋ぐとすぐに氷が溶けてしまうので、ウチでは樽を一晩冷やしてからサーバーに繋いでいるんです。そうすることで、ビールにもストレスがかからないんですよね。
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「マルエフと、道具と、多少の技術があれば、ビールはとことん美味しくなります」と語る松尾氏

久住:温度もちょうどいいですよね。僕はキンキンに冷えたビールより、キンぐらいの方が好き。 松尾:私もそう思います。マルエフがまた、キンぐらいで飲むのがうまいビールなんですよ。 久住:何杯でも飲めるなあ……って、いつのまにかもう2杯目を飲んじゃってる(笑)。 松尾:マルエフと、道具と、多少の技術があれば、ビールはとことん美味しくなります。 久住:その「多少の技術」が職人技なんですけどね(笑)。

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優しい味わいだから、素朴なコロッケと合わせるとしみじみ旨い

 ビールに合う料理が用意された。まずは、たんぱく質豊富な「枝豆」。『ビアライゼ’98』では、一度も冷凍していない生のものを使うため季節限定メニューになっている。軸がついた枝豆は味が濃く、定番ながらビールのお供には外せない味わい。「ビール仕込みのきゅうり味噌漬け」もいい。ぬか漬けではなく、味噌に漬けてあるだけに独特の酸味が苦手な人も美味しく食べられる。色も美しく、コクがあり、これまたビールが進む。次に用意されたのは人気メニューのポテトコロッケだ。
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シンプルなポテトコロッケは、ソースをつけずに食べると素朴な味わいが引き立つ

松尾:このポテトコロッケはおっしょさん(お師匠さん)の味です。 久住:これこれ! 『灘コロンビア』に通っていた頃から食べていたんですよ。小さくて薄くてじゃがいもっぽいコロッケ。僕はこういうコロッケが一番タイプ(笑)。コロッとまいっちゃう。マルエフのとんがってない味にも、最高に合うと感じます。 松尾:サイズもコンパクトだし、シンプルな味だから2つ頼まれるお客さんが多いんですよ。
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名物のメンチカツはいよいよビールが止まらなくなる

 そして最後はポテサラ付きの「メンチカツ」。サイズがLとMの2種類あり、人数やお腹の減り具合に合わせて選べるのも嬉しい。濃厚なソースを絡めて、久住氏が一口頬張る。 久住:この男の子味のソースがたまらんですね。かけすぎることをガマンできない(笑)。「灘コロンビア」で、これがある日だと「やった!」って思ってたのを思い出します。ああ、ビールが止まらない。また飲んじゃう(笑)。

「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」の缶が満を持して全国発売に!

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9月14日に缶が発売されるマルエフ。古き良き温もりを感じさせるデザインだ

 今までは限られた飲食店でしか飲めなかった「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」だが、9月14日に満を持して缶が全国発売となる。在宅時間が拡大したことで家飲みの機会が増え、ゆっくり味わいながら飲むビールのニーズが高まったためだ。オフホワイトの地色に金の帯をあしらったデザインは、どこか懐かしいレトロな趣き。中央にはマルエフという通称の由来である幸運の不死鳥(FORTUNE PHOENIX)があしらわれている。
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アサヒ生ビール(通称マルエフ)の缶ビールは9月14日に発売される

久住:僕は仕事が終わったら、店がやってない今も、家か仕事場で、絶対缶ビール1缶飲むんですよ。この店の味のマルエフが、缶ビールになるのはすごくうれしいなぁ。今から飲むの楽しみ。 松尾:私も本当に美味しいと思うから、お客様にお出ししつづけてきたわけで、今回、缶になると聞いてうれしくて。アサヒビールといえばスーパードライを思い浮かべる人が多いけど、先に生まれたバランスよく優しい味わいのマルエフは長男で、キレと辛口が魅力のスーパードライは弟のようなもの。やんちゃな弟の陰に隠れていたけど、ようやく長男の素朴なよさも知ってもらえる!そんな気持ちです(笑)。  まだまだ自由に飲みには行けない日々が続くが、この秋は家飲みのお供に幸運を呼ぶアサヒ生ビール(通称マルエフ)はいかがだろうか?

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久住さんが訪れたもうひとつの名店
浅草「盃屋かづち」の記事はこちら

(取材・文/山脇麻生 撮影/加藤 岳)  <提供/アサヒビール株式会社>
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