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酒好きの間で密かに愛され続けるビール「マルエフ」ってナニモノだ!?

 さらりとした飲み口、キレ味さえる「辛口」で爆発的ヒットとなり、80年代後半からドライビールブームを巻き起こした「アサヒスーパードライ」。缶のフタを全開すると泡がもこもこと発生し、飲食店で飲む生ビールのような味わいが楽しめるという斬新さがコロナ禍での家飲み需要にガッチリとハマって話題を呼んだ日本初の「生ジョッキ缶」。これまでさまざまな大ヒット商品を生み出してきたアサヒビールだが、実は30年ほど前に業績不振に悩まされていた時代もあった。そんな不遇の時代に、消費者の求める味と向き合って試行錯誤を重ねた結果『コクがあるのにキレがある』という新しい味を生み出し、アサヒビールの救世主となった「アサヒ生ビール」をご存じだろうか?   誕生から30年もの間ビール好きの間で愛され続け、限られた飲食店でしか飲めないこのビールを、愛飲者は「マルエフ」と呼ぶ。その由来は、幸運の不死鳥を意味する「Fortune Phoenix」の頭文字を取った開発記号のFを丸囲みしたもの。今回は、そんな知る人ぞ知るビール「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」に惚れこんだ店主がいると聞き、『孤独のグルメ』原作者の久住昌之氏と共に、浅草の西側に佇む居酒屋『盃屋かづち』を訪れた。

限られた飲食店でしか飲めないビール「マルエフ」って?

01 タイル張りの歩道を歩き、河童橋本通り商店街沿いの店舗へ向かう。漆喰の白壁が眩しい建物に、大ぶりの赤ちょうちんと真っ白な半暖簾。飲ん兵衛心をくすぐる外観にはやる心を抑えながら入店すると、藍染めの作務衣に身を包んだ店主の山浦弘之氏がにこやかに迎えてくださった。
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店主の山浦さんは、江戸料理に合うビールを探した結果「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」にたどり着いた

山浦:ここは築65年の建物で、もともとは呉服屋さんだったんです。エントランスすぐの小上がりは、反物を広げる場所だったそうです。照明器具や相撲の番付表を模したメニューなど、昔ながらの雰囲気を生かしているんですよ。 久住:このカウンター席、いいですねえ。入り口から差し込む光が気持ちいい。まだ、みんなが働いている明るい時間に通りを眺めながら飲めちゃうなんてね(取材は日中に行われた)。申し訳ない(笑)けど、楽しくなっちゃう。  まるでショーウィンドウのようなガラスで仕切られた店内には、陽の光が気持ちよく伸びてくる。心なしか、久住氏の前に供された「マルエフ」も煌めいて見えた。
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明るい時間から飲むと、罪悪感も相まってますます美味しい

先人の知恵が息づいた江戸料理に合う「マルエフ」のコク

久住:うわあ、見て、これ。キレイなグラスビール。いただきます。(一口飲んで)うん、オイシイ。今日も暑いしね。僕はキンキンに冷えたビールをガブガブ飲むのは卒業したから。これぐらいの温度の『マルエフ』を、ゆったり味わっていただきますよ。 山浦:ウチの店のコンセプトは“温故知新”。冷蔵庫がない時代、食材を長持ちさせるために昔の方が知恵を絞って生み出した『漬け』や『干し野菜』といった江戸料理を楽んでいただきたいと思っています。ゆっくり味を入れた濃いめの味付けの料理が多いので、サラッとしたビールよりコクのあるビールがあれば……と探し続けて『マルエフ』に辿りつきました。創業5年目ですが、開店以来、一貫して出し続けています。ぜひ、久住さんがおっしゃるようにちびちびとお楽しみください。  そう語る山浦氏がコトリとカウンターに置いたのは「漬け鮪」。漬け鮪の濃い赤と山葵と穂紫蘇の緑のコントラストが食欲をそそる一皿だ。
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刺身よりもコクのある味わいとなる漬けは、「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」のまろやかさとよく合う

久住:いいですねえ。いや、ウマイ。ビールと肴が並んだ景色もいい。目においしい。これ(マルエフ)1杯じゃ、足りなくなっちゃうね(笑)。  次に登場したのは、「切り干し大根のポテトサラダ」だ。
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醤油で炊いた切り干し大根とじゃがいもを合わせたポテトサラダ。乾物ならではの旨みで酒が進む

久住:ポテトサラダって店によって全然違うから、初めてのお店で頼むのは勝負なんだよね。まず、量がわからないし、どんなスタイルで来るかもわからないから。あまり好みじゃないと、それをやっつけるだけでお腹いっぱいになってしまったりするけれど、これはアタリ。ジャガイモと切り干し大根だけっていうのが潔い。1杯目の『マルエフ』のアテに最高。(さらに一口食べて)うん、うん。 山浦:切り干し大根は一度乾燥したものを醤油で炊いて味を入れ、マッシュしたじゃがいもと合わせています。食感の違いもお楽しみいただけたらうれしいです。 久住:はい、はい、ですね。このお店は、ひとりで来る方が多いんですか? 山浦:カウンターは、地元の方やひとりでいらっしゃる方が多いですね。実はうち、日本酒も常時40種類ほど置いていて、日本酒好きの方もたくさんいらっしゃるんです。そんな方でも、まず最初は『マルエフ』を飲まれますね。『マルエフ』の柔らかな口当たりとほどよい苦みは、そのまま自然に日本酒に移行できる味でもあるので。

気になるマルエフの詳細は
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穏やかに流れる時間に寄り添うまろやかなビール

 外の通りより、ゆっくりと時間が流れているように感じられる店内で、今度は「金目鯛の昆布〆め」が供された。 山浦:小皿に入っている調味料は、日本酒に梅干し、昆布や鰹をいれて煮詰めた煎り酒です。醤油が普及する以前の室町期に考案されたそうで、塩味も酸味もまろやかで、上品な白身魚の味わいをグッと引きたててくれるんですよ。まろやかな口当たりの「マルエフ」との相性もバッチリです。そして、お次は「小肌の酢〆め」になります。 久住:小肌やシメ鯖は、醤油と山葵が一般的だけそ、辛子も合うんですよね。 山浦:分かります。〆鯖と辛子も合いますよね。辛いんだけど柔らかい味わいになりますよね。 久住:わかるなあ。  息の合った会話も手伝い、グラスが空になったところで、2杯目の「マルエフ」の用意が整った。白と黄金のコントラストがしみじみ美しい。そこに登場したのは、「キンキの煮付け」。煮汁の表面で照明を受けキラキラと光る油膜が、食材の脂乗りのよさを物語っている。
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久住氏いわく「オイシくてマズいヤツ」のキンキの煮付け。脂ののった白身がほどよい甘さで味付けされていて、これもまたビールのアテとしては最高だ

久住:うわ、これはオイシくてマズいヤツだ(笑)。おいしすぎて、ついつい酒を飲みすぎちゃうんですよ。んで、肝心の味を忘れちゃったりして(笑)。生姜のさっぱりした味わいと程よい甘さがいいですねえ。やっぱり、こういう肴はうまいすごいと騒がず、ひとりで黙々と食べるに限るね(笑) 山浦:煮付けは常時ご用意しているのですが、扱う魚は仕入れによって変わります。ぜひ、キンキ以外の魚も召し上がってみていただきたいです。 久住:宣言が明けたら、ゼッタイに伺います。ここは昼間はやっているんですか? 山浦:土日祝は昼間から営業してますよ。 久住:それはもう、明るい時間から来て飲まないと(笑)。

家飲みにぴったり!「マルエフ」の缶が遂に全国発売!

 今年9月より、この「マルエフ」を自宅でも楽しめるようになる。なんと、今まで限られた飲食店でしか飲めなかった「マルエフ」が缶になり、全国発売されるのだ。「これが仕事場の冷蔵庫に入っていたら、仕事も頑張れるね」と久住氏。山浦氏も「仕事終わりに家で『マルエフ』を飲むのが、今から楽しみです」と語る。
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家でも「アサヒ生ビール(通称マルエフ)」が飲めるようになるのが楽しみだという二人

オフホワイトの地色に金色の帯をあしらったレトロな缶デザイン。その中央には、開発記号のFにちなみ、FORTUNE PHOENIX(不死鳥)があしらわれている。
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9月14日に缶が発売されるマルエフ。古き良き温もりを感じさせるデザインだ

 調和のとれたバランスのよい味と香り、まろやかなうまみの「マルエフ」は、在宅時間が増えた今、いつもの晩酌をより一層穏やかで、得難い時間にしてくれることだろう。

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久住さんが訪れた“ビールの聖地”
新橋「ビアライゼ’98」の記事はこちら

(取材・文/山脇麻生 撮影/加藤岳) <提供/アサヒビール株式会社>
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