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現役風俗嬢がYouTuberになった理由「楽しんでいる人もいることを知ってほしかった」

本当に解消してほしいのは必ずしも性欲とは限らない

――新たに展開を考えている事業も風俗関係ですか? まりてんまりてん:そうです。風俗嬢のスキルアップのための講習会を開いたり、風俗で働く人のお悩み相談を請け負ったり、ということもはじめています。悩み相談も深刻なモノからフワッとした話まで、いろいろ寄せられて面白いですよ。 ――指名が飽和状態とおっしゃっていますが、話を聞くと、性的な欲求だけでなく、まりてんさんとのコミュニケーションを楽しみたくて指名する客も多そうですね。 まりてん:私の場合は、一般的な風俗嬢とアプローチが違うのかもしれません。子供のころ新興宗教を経験した影響で、人間に対する興味と関心が原点にありますから。このお客さん、こんなふうに話してるけど、本当は何を考えているんだろう、っていう視点が常にどこかにあるんです。  お客さんも、基本的には、性的なサービスを受けにきているのですが、本当に解消してほしい部分って、必ずしも性欲とは限らないんですよ。特に定期的に通われる常連の方は、心に何かを抱えているケースがある。私は、そこをどう紐解いていくかを目指しているんですよね。それが、指名していただける理由かもしれません。

風俗で働いてから、母の弱さがやっと理解できた

――原点にある新興宗教の経験を、いまはどのように受け止めているんですか? まりてん:母が新興宗教にハマったのって、私が小3で、9歳のときなんです。私は3姉妹の一番上なんですが、下の妹が1歳で急逝してしまって……。それが引き金になったんだと思います。学校の友だちとも遊んじゃダメで、長老と呼ばれる人のうわべだけの言葉をずっと聞かされ……。高校時代は、いつ実家との縁を切ってやろうか、と思っていました。  でも、風俗をはじめてから、母の見方が変わりました。風俗は、男女が密室で密着してコミュニーションをとるでしょう。短時間で距離が縮まって、本音が出やすいんだと思います。お客さんが私の前で泣くシーンを何度も見ました。そこまでいかなくても、弱音を吐いたり、愚痴ったりする。  風俗で働いて、大人も弱いじゃん、人間って全然正しくないじゃん、って実感できたんです。そのとき母の弱さがやっと理解できた気がします。  小学生のとき、家に帰ると母が妹の写真の前で泣いていることがよくありました。相当落ち込んでいたんだと思います。そんな母が、新興宗教の集会に一生懸命に通い出した。子供心に「これでお母さんが元気になるんだな」って感じていたから、小学、中学時代は、イヤだとも言わずにガマンして従っていたんです。  母は、宗教に救われた。だから別に宗教を否定するつもりはないんです。  ただそう考えられるようになったのは、私が宗教から逃げることができたからだとも思います。新興宗教のなかって、狭くて、正しい人たちがたくさんいるんですよ。そこを飛び出し、ドロッとした人間くさい風俗の世界に居心地の良さを感じてしまった。自分の居場所を見つけられたからこそ、いまこうして楽しく生きられているのかもしれませんね。 【まりてん】 愛知県出身。美術大学卒業。新興宗教家庭にて、娯楽や交際を抑制された生活下で幼少期を過ごす。大学入学で一人暮らしを始めると同時に性生活が一気に乱れ、自然な流れで風俗嬢デビュー。都内の広告制作会社への就職を機に上京。いったん風俗を引退するものの、再度性生活が乱れて復帰。2016年11月に池袋にてデリヘルを開業し、約2年半経営者として風俗店の運営に携わる。その後、一度風俗業界の表舞台からは姿を消し大手事業会社にてWebプランナーとして働くも、「やっぱり風俗が大好き」という思いが捨てきれず、2019年12月にデリヘルにて顔出しキャスト復帰。 (聞き手・構成=岡田裕蔵)
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