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清水富美加が宗教から得た「救い」は、「選択しなくていい」ってラクさなんだと思う【カリスマ男の娘・大島薫】

見た目は美女でも心は男――。「カリスマ男の娘」として人気を博し、過去には男性なのに女優としてAVデビューを果たした大島薫。女性の格好をしたまま暮らす“彼”だからこそ覗ける、世の中のヘンテコな部分とは?
大島薫

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 なぜ宗教は「救い」と呼ばれるのだろうか。  今年2月に宗教団体「幸福の科学」に出家すると発表した、女優の清水富美加(現・千眼美子)さんが、3か月ぶりにインタビューに応じたと、産経ニュースが報じていた。ニュースによると、久しぶりにメディアへ登場した彼女は体調を崩していた引退発表直後とは雰囲気が変わり、ふっくらとして元気を取り戻しているようだとある。  ボク自身は無宗教だが、この清水富美加さんの引退騒動のニュースは、発表当時から興味深く拝見していた。「選択の奴隷」からの解放を、ここまでダイレクトに感じる公的な話題は久しぶりだったからだ。  さまざまな憶測や噂を除いて、彼女の言動をそのまま受け取るとすれば、そもそも出家にいたった原因は「過労による心身へのストレス」とのことだった。そして、実際先のインタビューでも本人から「出家して元気になった」という様子が伺える。  彼女にとって幸福の科学は「救い」だったのだろうか?  宗教というと、いろんな決まりごとや戒律があり「そんなことをしてまで何かに尽くす道を選ぶなんてどうかしている」と考えている人も多いだろう。制約ばかりが増えて、見返りがあるかどうかはわからない。そんなものに心酔するのは異常だ。このコラムを読んでいるあなたもそんな風には思うのではないか?  しかし、ボクが清水富美加さんのニュースから思ったことは、少し違う。実際には、ボクらの日常には、彼女が宗教から得た「救い」と同じようなものがたくさんあると思うのだ。

「今日着る服に悩まない」のも、構造は「救い」と同じ

 これを読んでいるあなたは男性だろうか? 女性だろうか? 普段着ているものは男物だろうか? 女物だろうか?  どちらにせよ 「男なんだから男物を着るに決まっているだろ」「女だから女物に決まってるじゃない」 と思っている人なら、清水富美加さんと同じく、すでに「選択の奴隷」から解放されているんだと思う。  ボクは今、心身ともに男性だが、女性ものの服も着る。かといって、全部が全部女性ものというわけでもなく、気分によって男性ものを着用することもある。これは楽しくもあるが、ある種でいえば、苦痛でもあるのだ。  つまりそこには「自由であるがゆえの苦痛」がある。1人の人間が、着る物を男物・女物に限らず自由に選べるとすると、単純に考えて2倍の選択肢から今日の服装を決めることになる。  これが「男は絶対に男物を着るんだ!」とハナから決めてしまえば、それほど楽なことはない。さらにいえば、「男は毎日絶対スーツを着るんだ!」ならもっと簡単だ。もう自分がどんなファッションが好きなのかなんて考えず、思考を停止してスーツだけ着ていればいいのだから。
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彼女は、宗教活動を中心に生きることを選んだ
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