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5000円でお葬式をお願いされても断らない。檀家信徒数「26軒→3000軒以上」を実現した住職の改革

「坊主丸儲け」ということわざが成立したのは昔の話。いまや多くの寺院が経営難に陥っているという。そんななかで、檀家信徒の数を26軒から3000軒以上に増やし、奇跡の復活を遂げた寺院が存在する。巧みな経営手腕を鈴木辨望(べんもう)住職に訊いた。

コロナ禍で全国の寺院の収入が激減

鈴木住職

住職の鈴木辨望氏

コロナ禍で収入が減少したのは仏教界も同じ。群馬県前橋市に建立された真言宗豊山派天明寺で住職を務める鈴木辨望氏は、「首都圏の寺院では、コロナ禍で4~5割程度の収入減があったと言われています」と語る。 「一般的なお寺の収入源は通夜や葬儀、法事、お盆などに納めていただくお布施になります。ですが、コロナ禍を機にお葬式やお盆をしない方が増えてきました。 現在、日本には7万5000ものお寺が存在していますが、そのうちの4割が自分のお寺だけでの収入で維持をしていくことが難しく、ほかのお寺に勤めに行ったり、副業をしたりして、何とかお寺を維持していると聞いております。 今後、さらなる寺離れ、宗教離れが加速していくとされる現代において、人口の減少とともに、寺院がますます衰退し、廃寺が増えるのではないかと懸念しています」

鈴木氏が入寺したときの檀家信徒の数はわずか26軒

鈴木氏が住職を務めている天明寺は、’22年時点で檀家信徒の数が3000軒以上を誇る。鈴木氏曰く、「群馬県前橋市の寺院は、檀家の数が300~600軒あれば寺院の経営が成り立つと言われている」ので、天明寺がいかに檀家信徒の支持を得ているかがわかる。 だが、以前から経営が安定していたわけではない。鈴木氏が133年無住の天明寺に入寺した’04年当時は、檀家信徒数はわずか26軒だけ。境内に墓地はなく、500坪の境内は苔むした状態であったという。 「このままでは寺院の経営が成り立ちませんし、そもそも私たち家族の生活もままならない状況でした。当時、どんなことをしてでも天明寺を立て直そうと決意しました」 ここから鈴木氏の寺院運営の改革が始まる。
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相談されたことは絶対に断らない
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