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大恋愛の後も人生は続く。日常の何げない出来事が最高のドラマに/明石ガクト

日常の何げない出来事でも、最高のドラマになる。そう感じ入る30代最後の年

動画オーバードーズ

『大豆田とわ子と三人の元夫』より

 打ちっぱなしコンクリの壁とミッドセンチュリー家具に囲まれた生活がアラフォーになる頃にはできると思ってた、ワンメディアの明石ガクトだ。  この原稿が掲載されている週刊SPA!の発売日は9月7日、偶然にも僕の誕生日だ。  ついに39歳。やっと39歳。あの’90年代、毎週末の金土のテレビドラマの中に後ろ姿を見つけられなかった仲間たちよ。僕もトレンディにクレンジングされたドラマとは程遠い泥と血と汗にまみれた闘いを続けてどうにかここまでやってきた。そのドラマはもしかしたら動画クリエイターを志す誰かの胸を打つものになるかもしれないが、それぞれがそれぞれの人生を生きる今の時代の最大公約数には程遠い。

「これは自分の話だ」と思えるコンテンツはヒットする

 仕事・趣味・結婚、多様な価値観が並立することが前提の時代に“テレビで”ドラマをつくることの難しさは、昔とは比較にならないはずだ。誰もがドラマみたいな大恋愛をするわけじゃないが、そんな恋愛の後にも人生は続く。だから大恋愛の後を描くドラマがあってもいい。それが『大豆田とわ子と三人の元夫』だ。  このドラマを説明するのはとても難しい。松たか子演じる主人公の大豆田とわ子と彼女とかつて恋愛を経て結婚し、そして離婚した3人の元夫を軸に展開する群像劇……と言ってしまえばそうなのだが、その説明だとこのドラマの面白さは1%も伝わらないだろう。  多くの人が「これは自分の話だ」と思えるコンテンツはヒットするという。家族や部下を守る立場にいる人は、とわ子の葛藤に。忘れられない元恋人がいる人は、3人の元夫に。どれも日常という重箱の隅をつつくようなエピソードばかりなのに、それを丁寧に掬い上げ、そっと盛り付けることでドラマとして成立させている。  日常の何げない出来事も、捉え方や切り取り方によって最高のドラマになり得る。自分の人生を悲劇にするのも喜劇にするのも、それは自分自身の演出によるものなんだ。40歳まで残り1年。「監督、俺!」のマインドで30代最後のドラマを作り上げていくぜ! ●『大豆田とわ子と三人の元夫』 愛情★★★、友情★★★★、欲情★(5点満点) キスシーンもハグシーンもシャワーシーンも出てくるけど、びっくりするくらいセクシュアルなムードを感じない超スタイリッシュな恋愛ドラマ(カタカナ多いな!)
’82年、静岡県生まれ。上智大学卒。’14年、ONE MEDIAを創業。近著に『動画の世紀 The STORY MAKERS』(NewsPicks Select)がある

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