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業務スーパーの強さは“非常識”にあり。牛乳パックデザートだけじゃない

FC加盟店がフランチャイザーになれる?なんそれ!

 さらにすごいのが、FC加盟店がフランチャイザーになれること。サンドイッチマン富澤さん的に言うと「ちょっと何言ってるかわかんない」ですよね?  フランチャイザーとは、加盟店を募集する企業であり本部機能を持つ立ち位置です。  神戸物産から見れば、FC店舗の下に、さらにFC構造は広がる形となっています。こんな、驚きの“ゆるい”構造が認められているのが神戸物産なのです。一方で、抑えるところは抑えているのが神戸物産。ノウハウとして効率化できる部分は本部の知恵がふんだんに使われています。  例えば、物流センターからの流通は袋単位では運ばず、段ボールで運ぶのが決まり。これにより、店舗内の陳列の効率化が徹底されます。こうした売れるノウハウは、“ゆるく”ない。さすがです。

企画、製造、販売を垂直統合

 業務スーパー、最後の強みは企画から製造、販売までを垂直統合させるSPA(speciality store retailer of private label apparel=製造小売)を取り入れている点です。  ここまで見てきたように、業務スーパーは製造も、販売も自社で行う仕組みが整えられているのがおわかりいただけたと思います。  さらに、神戸物産はいま新しいステージに入ってきています。ソフトバンクと業務提携を行い、AI活用による次世代型スーパー「業務スーパー天下茶屋駅前店」(大阪市西成区)を実験店舗としてオープンさせました。

AIでレジ待ち時間がわかる

 具体的な取り組みは以下の3つです。  一つ目は、AI カメラで品切れを自動検知できる点。陳列棚の映像を AI カメラで解析し、品切れを自動で検知してスタッフに知らせるシステムを導入することで消費者はスムーズに買い物を楽しめます。店舗側は、スタッフの業務量や人件費を削減でき、業務スーパーの強みであるローコストオペレーションのさらなる強化を実現できることになります。  二つ目は、消費者が選んだ商品に応じておすすめ商品やレシピを提案するレコメンドカートも導入されていること。これにより何を買うか決めていない消費者の買い物のお手伝いを担うことができるのです。  三つ目は、AI を活用してレジの待機人数を予測できること。スーパーのレジの混雑は、ラーメン二郎に並んでいるときのようなワクワク感がほとんどありません。このストレスを解消できるメリットはとても大きいと言えるでしょう。
馬渕磨理子

馬渕磨理子

 今やスーパー界でも最先端のテクノロジーを取り入れ始めている業務スーパー。あなたの街にも、あの緑背景に白いゴシック体の看板が次々と増えていく予感です。 <文/馬渕磨理子>
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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