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総裁当選翌日から既に死に体の岸田政権/倉山満の政局速報

 自民党総裁に就任した岸田文雄氏は今、人事という重要な局面に立っています。日々変化する日本の政局を、日本近現代史の専門家である憲政史家・倉山満氏が解説していきます(以下、倉山満氏による寄稿)。
岸田文雄

(画像:岸田文雄 総裁選特設サイトより)

 以下の記事、あえて情報が不十分な段階で書きます。まだ組閣は終わっておらず、閣僚名簿も出来上がっていませんが、主要閣僚の内定が出た時点で結論を出せるからです。

新総裁・新総理の最初の仕事は人事

 1955年以降の66年間、約5年の例外を除き、自民党総裁が総理大臣です。自民党総裁選挙に勝った人が衆議院の首班指名選挙を経て、総理大臣に選ばれます。  新総裁・新総理の最初の仕事は人事です。自民党幹部と閣僚の選考をします。合わせて「組閣」と言います。  新総裁は、まず「四役」と言われる幹部を選びます。総理大臣の仕事で忙しい総裁に代わり党を預かる幹事長。党の政策を決める政調会長。党の意思決定を行う総務会長。それに選挙の実務責任者の選対委員長が四役です。  別に置かなくていいけど、必要があれば置くのが副総裁。岸田さんは置いたので、副総裁を入れて「五役」が幹部です。  そして政権の要は、官房長官。組閣は、五役と官房長官が行います。  自民党を動かしているのは、派閥です。だから、五役は派閥で割り振ります。  では、どうなったか?

見事なまでに安倍麻生支配と化した岸田氏の「五役」

・副総裁=麻生太郎(志公会) ・幹事長=甘利 明(志公会) ・政調会長=高市早苗(無派閥・清和研系) ・総務会長=福田達夫(清和研) ・選対委員長=遠藤利明(有隣会)  志公会は麻生派のこと。清和会の正式名称は清和政治研究会で、細田派。実質は安倍派です。ただし、福田達夫さんは、清和研に所属しているけれども、安倍さんとは距離を置いていると言われています。有燐会は谷垣禎一元総裁が作ったグループ。  俗に、安倍・麻生に甘利を加え、AAラインとか3Aと言われますが、見事なまでに安倍麻生支配と化している。ちなみに、遠藤さんも清和研に近い人です。  今回、岸田さんの当選は、麻生さんと安倍さんの支援が大きい。しかし、竹下派なんかも支援しました。また、五役には敵対派閥も入れ、派閥のバランスをとるのが普通です。党内が揉めないようにする知恵です。  この人事、第一派閥の安倍派と第二派閥の麻生派さえ味方につけていれば、他の派閥の意向など聞かなくていい、という宣言になってしまいます。

財務大臣、外務大臣も安倍・麻生路線に

 さて、官房長官の他に財務大臣と外務大臣の内定が出ました。 ・官房長官=松野博一(清和会) ・財務大臣=鈴木俊一(志公会) ・外務大臣=茂木敏充(平成研)  ようやく竹下派(平成政治研究会)が登場。でも茂木さんも親安倍で有名。菅内閣どころか安倍内閣以来の留任なので、外交は安倍路線を堅持するとの宣言。  麻生財務大臣の後任の鈴木さんは、麻生さんの義兄弟。麻生さんの奥さんは鈴木善幸首相の娘、俊一さんのお姉さん。麻生財政を継続する気、満々。鈴木新財務大臣、「減税なんて、もってのほか」という信念の方です。  ここまでは、第五派閥の力しかない岸田さんとしては、仕方ないとして、問題は官房長官。
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力と忠誠心が求められるはずの官房長官。松野WHO?
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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