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派閥に逆らう若手の理屈/倉山満の政局速報

 いったい、今、日本で何が起きているのか? 総裁選で揺れる日本の政局を、日本近現代史の専門家である憲政史家・倉山満氏が解説していきます。第4回は第3回に続き、機能しなくなってしまった現在の自民党の派閥について紐解きます(以下、倉山満氏による寄稿)。 【前回】⇒自民党の派閥はなぜまったく機能しなくなったのか/倉山満の政局速報  動きが出てきたので、速報。まずは前回の続き。八大派閥の五番目から。

お公家集団と揶揄されることも「岸田派」

岸田派47人  ここは、いつのまにか最も派閥らしい派閥になりました。
岸田文雄

画像:岸田文雄氏オフィシャルウェブサイト

 親分の岸田文雄元外相がいて、総理大臣を目指す。その岸田さんの下に子分の国会議員が集まる。今や、最も古い派閥になりました。ご確認正式名称は池田の名前から「宏池会」と言います。 【参考】⇒(創設者の池田勇人について詳しく知りたい方は、小著『嘘だらけの池田勇人』をお読みください)  さて、宏池会は「お公家集団」と揶揄されることも多々。2017年の総裁選では、現職総裁の安倍晋三さんに「私はどうすればいいですか」と岸田さんが聞いてしまったとか。  現職総裁に対して支持しないで「私が総裁選挙に出馬します!」って、「アンタやめろ!」って言うのと同じですからね。どうすればも何も、支持する以外は不支持なのだけど、最近の政治家はそんなこともわからなくなっている。  ただ、岸田派は伝統的な組織があるので、選対本部もすぐできるし、選対本部長もすぐ決まる。仮に総理になったら、幹事長とか官房長官とか、要の人事はすぐ浮かぶ。河野さんや高市さんには無い強みです。  ここまで、細田・麻生・竹下・二階・岸田が五大派閥。他は、本来は派閥とは言わない。

「石破グループ」でいいはずの「石破派」

石破派17人
画像:石破茂氏オフィシャルウェブサイト

画像:石破茂氏オフィシャルウェブサイト

 マスコミがやたらと持ち上げるのが石破茂元幹事長の石破派。  親分の石破茂元幹事長がいて、総理大臣を目指す。その石破さんの下に子分の国会議員が集まる。までは派閥なのだけど、数。  自民党の総裁選に立候補するには、20人の推薦人がいなければならない。だから自分を含めて21人を切ると、一人前の派閥ではない。昔はそういうのを「グループ」と呼んだけど、今は派閥とグループの区別はいい加減。  21人いないんだから、「石破グループ」でいいと思いますけどね。仲が悪い安倍さんが8年も長期政権を築き、その間石破派は反主流派として過ごした。で、その8年間に他派閥に支持がまったく広まらず、「石破は何をやっていたんだ?」と呆れられる。  こういう調子なんで、石破派の国会議員は「我々が石破を派閥の領袖にしてやっている」と思っている
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実質は森山裕国対委員長が仕切る「石原派」
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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