更新日:2021年09月29日 21:18
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総裁選で何が起きていたのか/倉山満の政局速報

 総裁選が決した。いったい、その裏で何が起きていたのか? 揺れ動いた日本の政局を、日本近現代史の専門家である憲政史家・倉山満氏が解説していきます(以下、倉山満氏による寄稿)。
「総裁選2021」(画像:自由民主党公式HPより)

「総裁選2021」(画像:自由民主党公式HPより)

「1回目で岸田1位もありうる」と言っていた人は何人いるか

 自民党総裁選が終わりました。果たして、「1回目で岸田1位もありうる」と言っていた人、何人いるのでしょう。  私は言っていましたよ(笑)。(9月25日「倉山塾メルマガ」にて)  今回の総裁選、ネットの素人さんは高市、テレビしか見ない一般人は河野、そして政治を知るプロは岸田、と言われていました。  確かに今回の総裁選は蓋を開けてみるまで何が起きるかわからなかったので、非常にスリリングでしたが、これまでの経験則が通じない意表の展開だからこそ、基本を忠実におさえていた人が信頼できる言論をしていた、という結果になりました。  ということで、総裁選で何が起きていたかを解説。

派閥の意向に従わない若手が多発。岸田派以外は自主投票に

 事の発端は、衆議院の任期満了が近づき、「菅総理では戦えない!」との空気が広がったこと。特に、選挙に弱い自民党の若手衆議院議員には死活問題。  派閥の長老たちは「そうは言っても、コロナは誰がやっても同じだろ!」と若手に反発する状態。その長老たちも、安倍前首相&麻生財務大臣vs.二階幹事長の構図で、主導権争いを繰り広げ、こうした動きを収拾できずに菅首相は退陣に追い込まれました。  さて、勢力図。 ・細田派(実質的な領袖は安倍晋三)97人 ・麻生派54人 ・旧竹下派51人(ただし、参議院23人は結束が固い) ・二階派48人 ・岸田派47人 ・菅派約30人(表向きは存在しないので実数不明) ・石破派16人 ・石原派10人(実質的な領袖は森山裕) ・その他29人  合計382人  この人たちが派閥抗争を繰り広げる。ただ、総裁選はここでだけ多数になっても意味はなく、全国100万人の自民党員から支持を得られるか。その人たちの票を382票で割り振ります。  合計764票  自民党の派閥は「親分を総理大臣にするために集まった国会議員の集団」です。その代わり親分は子分を国会議員に当選させます。  普段は「親分がコイツに投票しろ!」と言えば従うのですが、総選挙の前は違う。勝てない総裁(総理大臣でもある)にして、自分が落選したら国会議員でいられない。だから、今回は派閥の意向に従わない若手が多発しました。  その動きの中心が細田派の福田達夫。  結果、領袖が総裁選に出た岸田派以外は自主投票になりました。
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難しい戦いを強いられた河野氏
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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