開業資金は約35万円、「清掃業」に挑戦するタクシー運転手が増加
コロナ不況の煽りを受けて死活問題となっている人たちがいる。また、給料やボーナスカットなど収入が目減りするなかで、テレワークの隙間時間に副業・兼業を始める人も少なくない。
そんななかで、「清掃業」に活路を見出そうとする人たちが増えている。自身もゼロから清掃業で起業し、現在は開業支援も担うオンラインスクール「ハウプロ」を運営する株式会社志事人・代表取締役の鶴原利彦氏によれば、コロナ禍で収入に打撃を受けた職種の人たちが多く受講しているという。
「受講者には、タクシー運転手や運送業の方で『売上が7割減になってしまったので副業として清掃業を始めたい』と話している人が多くいます。このご時世で、正社員として転職するのは難しいことから、まずは副業を検討する方が大勢いらっしゃるようです」(鶴原利彦氏、以下同)
じつは清掃業は、開業資金約35万円程度で始めることもできるという。
「他の職種と比べて清掃業は開業資金が低く、かつ在庫なども不要で身体ひとつで始めることができるので副業にも向いています。特にタクシー運転手や運送業の方の場合、車を持っていることが多い。車に清掃用具を積んでおけば、配送を終えた後にハウスクリーニングに出向くこともできるので人気となっています」
車を保有している人であれば、開業資金は道具代で5~20万円程度、研修費として5~35万円程度。おおよその場合は合計35万円程度あれば独立できるのだとか。
これは開業資金としては他の職種と比べてハードルが低いだろう。
とはいえ、鶴原氏はいきなり本業として始めるのではなく、副業から始めることでリスクを減らすことを推奨している。
「まずは研修を受けてスキルを習得し、週末起業のような形で経験を積みます。集客も含め、いけそうだなと思ってから本業に切り替える戦略がよいのではないでしょうか」
どんなにスキルやサービスに自信があったとしても、やはり大手のように知名度がないと集客できないのではないだろうか?
「確かにひと昔前まではお客様が大手に集中していました。しかし、最近では清掃業者をAmazonや楽天のように検索できるプラットフォームがあります。そこから個人の清掃業者でも依頼を受けられるようになったのです。また、“お客様から信頼を得る”ことで、大手よりも個人を選んでもらえるようになりました」
その背景には、大手清掃会社とフランチャイズ契約を結んでいる業者の技術不足が散見された過去があるという。正確な知識やスキルを持たないまますぐ現場に出る業者が増えたことから、大手清掃会社の看板を掲げていてもクレームが多発したのだ。
そんななか、個人の清掃業者のプラットフォームが誕生。個人業者のほうが一生懸命やるうえに適性価格と考える消費者が増えたという。さらに、清掃業者にとっても大手とフランチャイズ契約を結ぶとロイヤリティとして毎月10万程度のコストがかかってしまうため、個人で開業する流れが増えているのだとか。
果たして、副業・兼業としての清掃業に勝機は見えるのだろうか?
タクシー運転手たちが“副業”として清掃業に参戦
個人の清掃業者が大手に勝つ
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):@KA_HO_MA
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