特殊清掃員の葛藤「弟の“遺書”の内容をどう伝えるか」憔悴していた姉が感謝の言葉を述べたワケ
孤独死現場などを清掃していると、感情を揺さぶられてしまうことが時々あるという。
たとえば、見つけてしまった遺書を憔悴している親族などの依頼主にどう報告するかといった問題だ。傷ついた心に追い討ちをかけてしまう可能性もあるので、清掃業者は葛藤を抱えることになる。
都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに、複雑な感情を覚えた出来事について話を聞いた。
鈴木さんが自殺現場を清掃していた時の経験である。これは“プロ”としての在り方を考えるきっかけにもなったという。
「家で亡くなられた方のお姉さんからお問い合わせをもらいました。その時点で涙を堪えながら話しているのがよくわかりました。『弟が亡くなったので遺品整理をして欲しい』といった依頼で、現場は見たくないようで『郵送で鍵を送るので見に行ってもらえませんか?』と言われました。
依頼主はかなり精神的に参っている感じで、電話先でもわかるくらい、いまにも壊れてしまいそうな印象。その時期は繁忙期でなかなか見積もりにいけず、別の現場が終わってから直接その足で車で向かったところ、ついたのは夜でした」
車で北関東の方に走らせること2時間弱。現場につくと、すっと水を打ったような静けさがあり、不思議な感覚があったという。
「築5年くらいのきれいな一軒家で、天井から首を吊ったわけじゃなく、腰の高さくらいのクローゼットの取っ手に紐をくくりつけて亡くなった現場だったんです。血は床に溜まっていて、血を踏んで歩いたような肉球の跡が大量にありました。おそらく亡くなった時に飼っていた犬がしばらく家の中で歩き回っていたのかなと。
依頼主のお姉さんは現場の状態を知りたくなかったようなので、簡潔にどういった作業が必要で、見積もり金額はこのくらいですと伝えました」
業務当日、自殺現場の清掃を終え最終点検にはいっていた。清掃現場とは別の部屋、玄関を開けてまっすぐ行ったところに、リビングとダイニングキッチンが広がっており、机の上にノートが置いてあった。
「通常なら、ノートなどプライベートなものを開くのは野暮なので、見ないで貴重品リストに入れて依頼主に渡すんですが、依頼主のお姉さんの悲嘆に暮れた様子を見る限り、親族には見せるべきではないかなと思いました。でも言葉で伝えられそうな内容なら自分から直接伝えようと思い、開いて読んでみたんです。
中身は、事故を起こして会社に迷惑をかけてしまったなどの贖罪の言葉が書いてあり、ページをめくるにつれてどんどん語彙力が下がっていき、『今日は何を食べた。美味しかった。散歩に行った。楽しかった。』のように文章が稚拙になっていったんです。最後の書き込みには『生きるのに疲れた、もう嫌だ。』といった言葉が謎の絵とともに書いてあり、ページも破れかけていました」
全部見終わった後、見なければよかったと感じたという。これを親族に見せるか否かすごく悩んだ。見せてしまったら心をさらに病んでしまうかもしれないと思ったからだ。
自殺現場の遺品整理を依頼されて…
机の上に遺書を発見、内容を親族に伝えるべきか?
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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