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太田光の選挙特番は、二階さんとのやりとりが一番面白かった

文/椎名基樹

トリックスターとしての太田光

 爆笑問題・太田光の選挙特番 「選挙の日2021 太田光と問う!私たちのミライ」(TBS系)での司会ぶりが世間で顰蹙(ひんしゅく)を買っている。礼節を欠く態度が不愉快に映ったようだ。
「選挙の日2021 太田光と問う!私たちのミライ」

「選挙の日2021 太田光と問う!私たちのミライ」公式ページより

 太田光は太田光であるために、礼儀など糞くらえの態度で、不謹慎な発言をしなければならない。その結果大きなトラブルが待っている事は分かっていても、ドン・キホーテ的に突っ込むことを自分に課しているようだ。  それは職業的な都合による、自分の利益のための行為とも言えるが、太田光はそうしたトリックスターが世の中に必要だと自負しているとも思う。私も必要だと思うし、太田光はその役目を果たしていると感じる。

芸人としての覚悟は尊敬するが……

 太田光の過去の不謹慎発言で最もヒリヒリしたのは、カツラであることが、公然の秘密となっている司会者タレントに対して、テレビでそのことを指摘したことだろう。カツラであることは、全く他人に迷惑をかけているわけではない。それを指摘する事はもはや暴力である。しかし公然の秘密に対してツッコミを入れない太田光をもう1人の太田光は許さない。  因果な生き方だと思う。言わずに済むのならば、そうしたいはずだ。きっと家に帰れば、自分の発言に押しつぶされて、寝床で苦しんでうんうんと唸っているのではないだろうか。太田光の芸人としての覚悟を尊敬する。  ただ選挙特番の司会者は芸人なのだろうか? 選挙特番の司会者は、ある種の権威に思える。それはもう、太田光が茶化すべき対象なのではないか? トリックスターが、権威ある立場から、不謹慎な発言をしても、それは問題を混ぜ返すイタズラにはならず、ただ一方的なむごい仕打ちに見えたのではないか。
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二階俊博とのやりとりは面白かった
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1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina

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