仕事

大手飲食チェーン店社員が嘆く“非常識”なアルバイト面接希望者

深夜に面接希望の電話

深夜の公衆電話ボックス バイト面接は、面接前から始まっているとAさんは語る。近年の人手不足もあり店は猫の手も借りたいほどだが、それでも非常識な人は敬遠せざるを得ない。 「バイト面接希望者に、こんな人がいました。一番最初はメールで連絡をよこしてくれたんですが、その後こちらが返信をしても反応がまったくない。こちらから電話をしてもつながりません。だから返信メールに“私の電話番号に連絡してください”と書きました。すると、私が自宅で寝ていた深夜0時過ぎに電話をかけてきました。私が今何をしているのか、大多数の人がいつ就寝するのか、そういうことにまったく想像が及ばない人です」  メールならともかく、深夜に電話をかけるというのは常識から逸脱した行為である。Aさんは眠い目を擦ってそれに対応しなければならなかった。が、この時点でAさんの判断は概ね決まっているという。 「よほどの事情があってこの時間帯に電話をかけざるを得なかった、ということでなければ不採用です」

40代おじさんの「将来の夢」

 バイト面接希望者の中には、これまでの経歴を猛アピールする人もいる。「自分は今までこんなにたくさんの職種を経験してきました。幾多もの有名飲食店で働いてきました。即戦力としての自信があります」という具合に。 「40代半ばの人で、今までに数十の職場を経験してそれを余さず履歴書に書いた人がいます。ですが、よく見ると1年以上続いた仕事がひとつもない。せいぜい半年とか、中には1ヶ月で退職したという経歴もありました。つまり、同じ職場で長く働ける人ではないということなのですが……」  ところが、当の本人の意識はAさんの斜め上を行くものだったという。「短期間で次々に職場を変える」ことを誇りにしている節がある、というのだ。 「表現が難しいんですが、つまりですね……。この人は今までの職場遍歴を“キャリア”と思ってるんです。在籍が半年だろうと1ヶ月だろうと、そういうことは本人にとってはあまり重要ではない。“日本人の誰しもが知っている飲食店で勤務していた”ということ自体に価値を見出している、と言えばいいでしょうか。だから、言っていることもすごく意識が高い。将来の夢とか、日本の展望とかをいきなり語り出すんです」
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まるで具体性がない
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ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー

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