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〈西村賢太氏追悼〉「小説以外に興味は何もないと自覚したとき、他の一切が無駄に思えた」

いつまで生きたいと思いますか?

山田:我々、人生の日暮れの中年世代ですが、西村先生はいつまで生きたいと思いますか? 西村:僕は独り身なので、なんの責任もありません。だから、小説が書ける限り、という感じですね。書けなくなったときが死ぬときでいい。 山田:なんかカッコいい! 自分も長生きに興味はありませんが、小学3年生と2歳の2人の娘がいるので、少なくとも彼女たちが成人するまでは生きなければ、と思っています。 西村:それは本当に立派ですよ。 山田:子供に生かされている状態です。逆に、西村先生のように「小説を書くことが生きがい」と言い切れるものがなく、子供もいなかったら、「人生100年時代」なんて、ちょっとぞっとします。

ハッピーエンドな不老不死なんてない

西村:長生きも必ずしも善ではありませんね。未練がましくただ生きているだけでは、恥をかくだけだし。 山田:不老不死の物語でハッピーエンドのやつ、見たことないですもん。大抵、バッドエンド。まだ娘に父親が芸人であることを明かしていないのですが、成人式の後にレストランに連れていって、ワインを頼もうと思っているんです。「あれ、パパはいつもウイスキーしか飲んでいないのに、今日はなんでワイン?」と娘が訝しがっているところで、「成人おめでとう。ルネッサーンス!」とカミングアウトするのが、人生の最大の目標です。 西村:それは楽しい目標ですね。それこそ素晴らしい、良い人生の証しですよ。 【西村賢太氏】 ’67年、東京都生まれ。30代半ばで小説を書き始め、’11年に『苦役列車』で第144回芥川賞受賞。近著に『瓦礫の死角』(講談社)、『一私小説書きの日乗 堅忍の章』(本の雑誌社) 【山田ルイ53世氏】 ’75年、兵庫県生まれ。中高一貫の名門私立校からひきこもりを経て、’99年にお笑いコンビ「髭男爵」結成。文筆業も好評で、『一発屋芸人列伝』(新潮社)など著書多数 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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