【西村賢太×水道橋博士】テレビ番組降板について語る
中卒の芥川賞作家、西村賢太氏の対談集「薄明鬼語(はくめいきご)――西村賢太対談集」が先月刊行された。
現代の無頼派私小説作家として腕をふるい、テレビのバラエティ番組でも活躍する西村氏。2011年、「苦役列車」での芥川賞受賞会見で「受賞のときは」と聞かれ、「自宅で。そろそろ風俗いこうかなと。いかなくてよかったです」と発言したように、西村氏の率直さは氏の魅力のひとつ。
「薄明鬼語」には、そんな西村氏が小説家だけでなく、タレント、ミュージシャン、俳優らと文学の枠を超えて語り合った、ここだけの話が満載されている。
対談ゲストは、木内昇、田中慎弥、本谷有希子、六角精児、テリー伊藤、ダイアモンド☆ユカイ、マツコデラックス、水道橋博士の豪華8人。
例えば、水道橋博士氏とは昨年のテレビ番組降板の真相を吐露し合っている。
博士:(略)いや、面白いのは面白いじゃないですか、何か事件が起これば。降板する(注・テレビ大阪「たかじんNOマネー」)ってこと自体も、経済的な損失を受けてまで降りたい理由があるってことだから、僕としてはアリだと思ってるんです。でも、いざ自分がやれるかどうかってのは難しいんですよ。
西村:その、難しいというのは?
博士:これは赤江君(玉袋筋太郎)とよくしゃべるんだけど、本番中に「おま×こ」とかって言い出したらどうなるんだろうとか、突然共演者の鼻を殴ったらどうなんだろうとか、そういう妄想は若い頃からずっとしてるんです。でも、タレントの振る舞いとしてそういうことはやってはいけないという同調圧力があるから、実際には難しいですよね。ただ、その同調圧力に対して「何かやらねば」とはいつも思ってるんです。
西村: 実際に何かやったことに対する結果は当然わかるわけですよね。そんなことはありえないでしょうが、「たけしさんが激怒したらどうしよう」なんてことも考えるもんですか。
博士:いや、考えましたよ。バーンと机を叩いて、最後にお尻をきゅっと出して帰れたら理想でしたけど、やっぱりできないんですよね。これはたけしさんにも言いましたが、その辺が俺の器の小さいところなんです。
西村:いやいや、それほど命がけのパフォームだと、最後にギャグで決めるってのは難しいんでしょうな。僕の場合(注・MXテレビ「ニッポン・ダンディ」)、さきほどのスタッフ連中の幻想話と違って机こそ叩きませんでしたが、「辞める」とハッキリ宣言して――その日は妙な白いスーツを衣装で着せられていたんですが、それを脱いでバシッと叩きつけ、足蹴にして出てきたんです。当然ながらそれが現場のスタッフたちの不興を買ったようで、もうMXからは二度と声は掛からないでしょうねえ。もっとも、行きたいとも思いませんが。
博士:……でもねえ、テレビの不思議なところは、二度と声が掛からないってことはないんですよね。今のご時世、空気を読んでテレビに使っていただいている人はもう飽和状態だから、その反動として、何を起こすかわからない獣のような人をテレビはおそるおそるでも映したいんだと思うんです。
<「摩訶不思議なテレビとネットと出版界の遊泳術」より>
このほかにも、ダイアモンド☆ユカイ氏に離婚話を突っ込み、六角精児氏の借金話を引き出し、直木賞作家の木内昇氏と執筆スタイルについて語り合っている。
芥川賞作家の意外な一面とリアルな姿が垣間見える貴重な一冊だ。
●刊行記念サイン会開催
【東京】6月12日(木)19:00~ 定員100名
※要予約
★12日は「この印税でまた一緒にソープに繰り出そうぜ!」と帯文を寄せた、玉袋筋太郎氏(「スナックあるある」講談社刊)との合同サイン会です
三省堂書店 有楽町店 Tel:03-5222-1200
【大阪】6月22日(日)16:00~ 定員100名
※要予約
紀伊國屋書店 グランフロント大阪店 Tel:06-7730-8451
<文/en-taxi編集部 写真提供/新潮社>

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『薄明鬼語――西村賢太対談集』 率直過ぎる芥川賞作家が引き出し、晒した作家の覚悟、女性関係、テレビ業界と文芸界etc. ![]() |
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