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いま買ったら損する? 高級腕時計の価格が上がり続ける状況はバブルなのか

バブルではないという結論に

 実は、高級腕時計は、20年以上も前から、「あの時計は高すぎる」や「そんな現象続くわけがない」と言われ続けています。  確かに、私も20年前の時点では「定価超え」となっているモデルを買うのは、絶対にいやでした。しかし、それら腕時計は今、どうなっているかというと、20年前の「割高プライス」よりも更に高い状態であります。  長年、腕時計の価格を調査してきた私としては、腕時計に対する「バブル」という意見の多くは、感覚的なものだと思います。あまり分析された考えに出会ったことがないのです。  そして、「バブル」という意見を認知した私が、データを考慮して、「バブルなのか」ということを考えてみると、「バブル」という結論には至らないのです。  では、私が考える「バブル状態」は何かというと、「飛躍」であります。

意図的に作られた割高ではない

 例えば、本当に「バブル」といわれた頃(1990年前後)、聞いたこともない地方の温泉マンションを高値で買うような行為がそれです。それに対して、同じバブル期でも、銀座の土地を買っていたならば、2019年時点で「バブル超え」となっていたわけです。  では、それを腕時計に置き換えるとどうなるか。今、値上がりしている腕時計の多くは、なにかと実績がある人気モデルであり、まさに「銀座」のような存在です。  仮に今、値上がりしている腕時計の多くが、振興ブランドが広告代理店をうまく使って流行らせたような「流行り物」だったならば、明らかな「バブル」だといえます。  けれども、そうではないから、私は今の状態を「バブル」だと思わないのです。  もちろん、腕時計の値動きは、今後もずっと「値上がり」だけではないでしょう。「値下がり」する可能性は十分ありますし、実際この5年の間に下落トレンドも2度経験しています。  しかし、そのように値下がりしたとしても、そこで終わってしまうのではなく、その後も「上昇」や「下落」といった“値動き”が続いていくのが高級腕時計の世界。だから、私は腕時計が上昇している様子を見て「バブル」とは思わないのです。 <文/斉藤由貴生>
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

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