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詐欺店でコテンパンに搾り取られた風俗好き男性の復讐

デートコースに強いこだわりを見せる徳重さん

2712317_m「この間なんか8時間のデートコースにして女のコと高級海鮮丼を食べに行ったよ」  徳重さんは屈託ない笑顔を見せた。もちろんデートにかかる費用もすべて徳重さん持ちなので、まあまあな金額を使ったのだと思う。 「それが美味い海鮮丼でよう、本当になにか呪術とか使っているんじゃねえかって美味さの海鮮丼で、これがまさに呪術かいせ……」 「ちょっと待ってください! それでそのデートコースがどうなったんですか!」  言わせねえよ。ダジャレラビリンスに陥る前に阻止なければならない。 「でもよ、いきなり知らない女のコとデートコースって難しいじゃん。気が合わなかったらお互いに気まずいしな。だから普通にデリヘルとして呼んで、何回か呼ぶうちに打ち解けてきたとこで「今度はデートコースにしていい?」ってきくわけよ。それでOKしてもらえたらデートコースにする」 「けっこう気を使っているんですね」 「デートコースを楽しむには必要なことよ」  そう言いながらアイスコーヒーを口に運ぶ徳重さんはなんだかハードボイルドでかっこよかった。  ただ、そうなるとなかなかデートコースまで辿り着ける女の子が見つからないらしい。そうそう気が合う女のコが見つからない、そう嘆いていた。ダジャレを言いすぎて微妙な空気になっている徳重さんの姿が僕の脳裏にカットインしてきた。

新規開店にもかかわらず、在籍女性が多い店は危険だという

 そこで徳重さんは新規開拓の日々を送るようになったそうだ。  店舗型の風俗と違い、無店舗型のデリヘルは新規オープンの障壁が低い。働く女性と電話回線、そしてPR用のホームページ、そして許認可あとは送迎用の車両などがあれば開業できてしまう。日々、多くのデリヘル店が開業しているわけだ。徳重さんはそれらの新店舗のチェックを欠かさず、日々、仲良くなれそうな女の子がいて店側もデートコースを設定していて、という理想の店を探しているわけだ。  そんな新規開拓の日々のなかで徳重さんはある店に目を付けた。  そこは新しくできた店にもかかわらず、在籍する女性も多く、ほとんどの女性がフルに近いくらいしっかりと出勤していた。ホームページで顔出ししている女性も多く、かなりレベルが高い。他の店に比べてやや利用料金は高いが、かなりハイレベルな店であることが伺えた。もちろんデートコースの設定もある。  しかしながら、風俗経験の深い徳重さんに言わせるとこれは危険な店らしい。一概にそうだと決めつけるわけではないけど、徳重さんのチェックリストにしっかりとひっかかるらしい。なにが危険かというと「詐欺に近い店」である可能性が高いそうだ。  徳重さん曰く、風俗店などのホームページに掲載される女性の写真は、やはりお客が付かないと困るわけだから、ある程度は加工が施されているらしい。かわいく、細く見えるようにして掲載していて、客側もある程度はそれを分かっていて許容している部分がある。  写真の修正は行われるが、さすがにそこまで過激な修正は行われない。それをするとリピーターが付かず、けっきょく立ち行かなくなってしまうからだ。なにごともほどほどにということだろう。  しかし、詐欺に近い店は違う。はなからリピーターを期待しないので、掲載される写真とぜんぜん違う女性がくる。もう修正とかではなく明らかに別人がくる。そこでキャンセルさせてキャンセル料をせしめるビジネスモデルの店もあるらしい。どうせリピーターは来ないので噂が広まった時点で店を畳み、次の店をオープンさせる。開店への障壁が低い無店舗型だからできる技だ。
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徳重さん流・詐欺店を見分けるポイント
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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